罪ふたつ ページ4
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『…ぁ』
「あ"?」
私の声とも呼べぬ声が零れたことで、目の前の少年は顔を顰める。
先程の挨拶と同じように、綺麗な空色と目が合った。
ここは我が家の廊下。私から見て右手側には枯山水の庭が見えている。
私を前にこれ程顔を顰めた人は初めてだ。
というか、なんで一人で居るんだろう。
『お連れの方はいらっしゃらないのですか?』
私が声をかければ、少年は白髪を揺らして私を眺める。
「_____ふっ、」
視線を疑問に思った時、彼は息を零した。
意図的に。
…は?
私を蔑んでいるような、失望しているような、
そんな色を混ぜた瞳を歪ませて。
口の端を嫌味ったらしく片方だけ上げて。
見下した顔で、私を、嘲笑した。
なぜ?
私は驚きで目を瞠り、口を薄く開いてその場に固まる。
しかし彼は口を開いた。
「マヌケ面だな」
マヌケ面。
「ザコが見てんなよ」
ザコ。
「………オマエ、喋れねぇの?」
オマエ。喋れない。
『__っもう一度、仰って下さいませんか!』
「は?なんで?」
『………はぃ?』
パチリと瞬きをする。
言葉の意味が理解出来ず、もう一度言えと言ったが、彼は言うつもりは無いらしい。
どうしよう、頭がこんがらがってきた。
「日本語理解しろよ。なんでつってんだろ。
_____あぁ、そうか」
彼はまた顔を歪ませる。
それは、とても美しく。
「オマエって、弱いんだっけ?」
弱けりゃバカでも仕方ないと彼は言う。
やっと気づいた。私はバカにされているのだ。
彼は私をバカにしているのだ。
「俺、弱いやつって嫌いなんだよね。目障りだし消えてくんない?」
言うだけ言って、彼はまるで私に興味を無くしたように、視界にすら映っていないかのように
視線を外して消えた。
『なんなの…初対面に…』
______五条悟。
ふと思い出した。
あぁそうだ、五条悟だ!
六眼と無下限呪術の抱き合わせ!
あの恵まれた男だ!!
『くそ、』
なんて憎たらしい。腹が立つ。
自分が弱いことくらい知ってるんだから、わざわざ言うなよ。
私より力も才能持ってるからってあの態度!!
私の噂を話してバカにし、笑っていた大人達よりもずっとずっと憎い!!
ぎり、と歯に力を込めれば、口の中で鉄の味がした。
『___五条、悟』
絶対に、許すものか。
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時