罪はたち あまり むっつ ページ28
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殴られると思って目を閉じる訳ではないし、大人しく殴られている私ではない。
少し顔を右にズラせば当たらないような、工夫の一つも無い。
『遅い拳ですね』
「っな、」
避けられるとは思いもしなかったのか、三人とも間抜けな顔をしている。
とりあえず、殴ってきたこいつは一人目ね。
左手で手首を掴んで私の方に引っ張りつつ足をかけて手を離せば、簡単に転けてくれた。
( 三対一、)
ちょっと分が悪いけど、経験って大事だもの。それにこの場所は私と甚爾さんの密会場所だから。
『体術、教えてくれるんですよね?』
さて、サンドバッグになるのはどちらやら。
そう挑発的に笑ってあげれば、マンガかってくらいに、三人とも向かってきたよね。
❀❀❀
『人を殺した経験は?』
「…………ない」
『じゃあ呪いを祓った経験』
「………………………ない」
私の足の下で半分死にかけながら答えている一人目。どっちも経験無いくせによくイキれたもんだ。この調子だと残り二人も経験無さそうだな。
「お、おれっ、帰る!」
「は?!」
二人目、とロックオンしていた子が、焦りと恐怖の混じった様子でその一言だけ吐き捨てては慌てて走って行く。
『あらら、帰っちゃった』
まだ手も出していないのに。根性の無い人だ。
『…じゃあ、貴方が二人目ね』
三人目、もとい二人目と目を合わせる。
一度お腹に蹴りを入れた筈だけどまだやる気はあるらしい二人目は、大きく拳を振りかぶった。
(…だから、遅いって)
軽く避けて、顔に飛び蹴りを入れる。
「い"っ、」
「ぐぇっ」
顔だからもちろん彼は痛いだろうし、一人目の上に立ったまま技をかけたから、そっちにダメージも入れれて一石二鳥ってやつ?
「う、吐きそう…」
『止めて』
更にダウンした一人目の上から降りて、二人目に目を向けた。丁度さっきの蹴りで崩れた体制を戻し終わったようで、目が合う。
『喧嘩売る相手、間違えましたよね?』
「……………はい…」
『もうこの場所には近づかないで下さい』
「…………ハイ」
今日はもう帰ろうと、弱々しく返事をする二人に背を向けた。
❀❀❀
「なんか、ドキドキする…また会えるかな…」
「……お前一番ボコられてたけど、正気か?」
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時