ただ破局してないだけ

１７Yside ページ17

「みなさん！すみません。来ていただいたのに急で申し訳ないんですが、今日はこのまま解散で…」


それは突然のことだった。


ミツはあの日以来、体調と上手く付き合って仕事をしていて、倒れるとか休むどころか、フラついたりしているところも見ていなかった。

もちろん、顔色がいいかと言われれば良くはないし、身体はやつれたまま。楽屋の弁当は食べるようになっていたけど、おいしそうに頬張る姿は見ていないし、あの食いしん坊なミツが完食することもなかった。

でも、仕事はなんの問題もなく進めていて、周りから見たらきっと今まで通りのミツに見えるだろう。

心配しすぎたら嫌がるだろうと思って、声をかけるのはほどほどにしておいたところだった。


番組のスタッフが、ミツ以外が揃った楽屋で、まだ収録の準備も進めていない俺らに解散…と。


T「え？どうしたの？もしかしてミツ…？」


たまはあの日以来、ミツに敏感になっていて、今回もすぐにミツの名前を挙げた。


「マネージャーさんが、迎えに行って車に乗せたら、すごい熱だったからって。仕事に行くって言われたけど、無理矢理病院に…。だから、今日の収録は延期ということで」

2「熱…？！いや、ガヤ家いなかったの？」

何も知らないニカがすぐ太輔に話を振った。まあ…そりゃそうなるよな…。

F「…あー、昨日今日帰ってなくて。知らなかった」

2「いや、何やってんの？！じゃあ今すぐ帰って看てやってよ！バカ！！っていうか、ちょっと前様子おかしかったの気付いてるでしょ？なんで気を付けてあげなかったのさ！」

「ちょっと落ち着けって」

そう宥めても、だっておかしいじゃん！とニカは大声を上げた。そんな空気の楽屋で太輔は表情ひとつ変えず、1人立ち上がった。

S「どうしたの？ガヤおかしいよ…？ミツとなんかあった？」

F「関係ないだろ」


それだけを言って、怒るニカを背中に、太輔は楽屋を出て行ってしまった。

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