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英雄から六歩 ページ7

「何をするつもりだ」

「さぁ?」


怖い。
久しぶりにその感覚を思い出した。

特攻二部に所属してからは、ほとんど感じることのなかった感情。

私はあの男が酷く恐ろしい。
何を考えているかわからない。気味が悪い。

「たいちょっ───」
「君、邪魔だね」

目の前に黒い影が突然現れた、とその瞬間、バキバキッと肋あたりがなった。

おそらく2、3本折れている。
起き上がれなかった。動くと突き刺すように身体中が痛くなった。



「これで一対一だよ。君らが大好きな、公平な勝負方法でしょ?これで負けたら大人しくしててね?」

「A……絶対に助けてやるからな。俺がお前を絶対に守る」


奴は悪だ。紛れもなく。
私のこの想いを知っていて、私を気絶させない程度に痛めつけたとしたら。

見たくなかった、こんなの。

知っていた。隊長が先輩のことをどう思っていたかなんて。

私は誰よりも隊長を見ていたから。
なんとなく気がついていた。


隊長は先輩を……


ドゴォンッ、ガラガラ……と、私の転がっているすぐ脇の壁になにかがぶつかった。


はっ、として隣を見ると、そこには奴がいた。


「ははっ、吹っ飛んじゃった」

「なんだよ、Aはこんなひ弱に負けたってのか?」


「え、気づいてないの?」

奴は含みをもった笑みで隊長を馬鹿にするようなポーズをとる。

「何がだ?」

隊長が問うと、奴は先輩に近づき、白いワイシャツを胸の直前まで捲った。


そこには少し血が滲み、広い範囲にわたって包帯が巻かれていた。



「え……先輩が……こんな大怪我……?」

「なんだ、これ……」


「見ての通り、先の戦いでこの子、怪我してたの。だぁれも気づいてくれないなんて、可哀想に」


奴は皮肉げに言う。
その言葉は、私たちのこころを容赦なく抉った。

その隙を、奴は逃さなかった。

隊長が動揺した瞬間に奴は飛び出し、隊長に体当たりする。

隊長は一瞬硬直し、その後、崩れ落ちた。

「隊長!!」

叫んだため、折れた骨が痛みをさらに主張する。

奴は塀の上へ飛び乗り、去り際に言った。

「こんなことも気づいてあげられなくて、果てにはそれを敵から教えてもらうだなんて。
もうこの子のこと、好きだなんて言える訳ないよね」

クスクスと嫌な笑みと、隊長に大きな傷を残し、奴は闇の中に消えていった。



動けない隊長の、先輩を呼ぶ切な声が、私を酷く傷つけた。



To Be Continued

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設定タグ:悪役 , ヤンデレ , バットエンド   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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こんにちは - とても面白いので更新期待してます……よろしくお願いします! (2022年8月29日 18時) (レス) @page15 id: 561b81e9d3 (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - ここさん» ありがとうございます。私情でしばらく筆を置いてしまい、お待たせしてしまっています。これから更新していこうと思っていますので良ければ気長に待って貰えると嬉しいです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - とても面白かったです(^-^) 更新をお願い致します!! (2019年12月29日 2時) (レス) id: 9ab82a9f0f (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - あかさたなさんさん» 嬉しいコメントありがとうございます。遅筆ですが自分なりに頑張っていきたいと思います。励みになります。 (2019年10月6日 19時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなさん - お話面白かったです。これからも頑張ってください。 (2019年10月6日 16時) (レス) id: e7421af52a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あの。 | 作成日時:2019年3月23日 16時

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