英雄から十三歩 ページ14
｢殺し合う？！｣
私のもっともな疑問を声に出したのはマリーだった。
｢そ。俺は純粋に戦いを楽しみたいんだ。何にも邪魔されずにね。それにトドメを刺さなければお互いに高め合える。つまりもっともっとずぅっと愉しみ続けられるんだ。それって最高じゃない？｣
｢………｣
マリーはあまりの奴の気迫に押されていた。
かく言う私もその壮絶さに呑まれていた。
『………狂ってる』
思わず零れた言葉に奴は何がおかしいのか満面の笑みを浮かべる。
｢狂ってる？
ふふっおかしいこと言うねぇ、君。俺は正常だよ。でも、もし俺が狂ってると言うなら俺を狂わせたのはきっと君だよ｣
妖艶な雰囲気を醸しながら、私の頬を撫でる。
奴の笑みも、その行動も、予測も理解もしがたく、体が硬直した。
不可解な表情をしていたであろう私を慈しむような奴の顔が果てしなく不自然で、酷く気持ちが悪かった。
『やめてください、虫唾が走る』
最大限の軽蔑を込めて言うが、奴はさらに笑みを深めていく。
｢あぁ！いいねぇ！もっと嫌って！心底憎んで！その憎しみが俺を殺してくれるから！！｣
真っ直ぐで強すぎる奴の目力が、私の目を穿いた。
『あなたと殺し合うつもりは、ありません』
僅かに怖気づきながらもはっきりと言う。
そんな特殊な趣味に付き合う道理はない。
そう思っていたら、私の言葉に片眉を上げながらもクスリと小さく笑いを零す。
｢つもりはなくても殺されそうになったら戦わざるを得ないでしょ？｣
まるで拒否権はないのだと言うように、両手を掴まれた。
反射的に蹴りを入れると
ほら見たことかと奴は嘲笑う。
｢君は戦いに慣れすぎてる。だから｣
君は俺から逃げられないんだ、と刷り込まれるように耳元で囁かれた。
To Be Continued
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こんにちは - とても面白いので更新期待してます……よろしくお願いします！ (2022年8月29日 18時) (
レス) @page15 id: 561b81e9d3 (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - ここさん» ありがとうございます。私情でしばらく筆を置いてしまい、お待たせしてしまっています。これから更新していこうと思っていますので良ければ気長に待って貰えると嬉しいです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - とても面白かったです(^-^) 更新をお願い致します！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: 9ab82a9f0f (このIDを非表示/違反報告)
あの。(プロフ) - あかさたなさんさん» 嬉しいコメントありがとうございます。遅筆ですが自分なりに頑張っていきたいと思います。励みになります。 (2019年10月6日 19時) (レス) id: d990767fad (このIDを非表示/違反報告)
あかさたなさん - お話面白かったです。これからも頑張ってください。 (2019年10月6日 16時) (レス) id: e7421af52a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あの。 | 作成日時：2019年3月23日 16時
