甘い…生活？ (ページ48)

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48話目ページ48

「誰も…居ないよね？」

あれ以来、玄関のドアを開けるのが怖くて辺りをキョロキョロと見回す。

家に入って、二人に帰宅を知らせるメールをしてソファに腰を下ろした。

親切心でした事が引き金になって起きた今回の事件…。

「こんなんじゃ…段々冷たい世の中になってくのも無理はないのかな…？」

何だか気分が沈んでしまい、ソファで寝転んでいるうちにいつの間にか寝てしまっていた。

「A…？あ、寝てる。」

「疲れてんだろ。寝かしといてやれ。」

二人が帰ってきた気配を感じて起きようとしても眠くて目が開かない。

起きないとな…と無理に体を起こそうとした時…。

「ね？どっちが先にAを抱いちゃうの？」

「…初めてだって言ってたから責任は重大だな。」

なんて聞こえてきたから起きるに起きれなくなってしまった。

「俺、経験ない子とした事ないよ？源は？」

「俺は…あるにはあるが、かなり手こずった記憶がある。」

「だよね、痛いらしいしね。」

「時間をかけて慣らして…なるべく苦痛を少なく…。」

うわぁ…聞いてらんない～。聞いてらんないけど起きれないよ～。いつまで寝てれば良いんだろ？

身動ぎ1つせずに寝たふりを続けてるといい匂いがしてきて、剛の「そろそろ起こす？」の声。

「だな。冷めると美味くない。」

「A、A、起きて？ご飯だよ～。」

「ん…ご飯…？あれ、帰って…たんだ？」

目を擦り、眠そうな声を出してゆっくりと起き上がった。

「気持ち良さそうに寝てたから俺らで飯を用意した。」

「ありがとう…源。」

テーブルについた私の顔をじっと見てクスッと笑う。

「えっ…何？」

「…別に何にも。な、剛？」

「うん、そうだね。何にもないよね。」

狸寝入りがバレてたのかと…少々顔が引きつってしまった。

「食べよ、冷めちゃうし！」

「うわ…いっぱい作ってくれたんだね。」

「…作ってないよ。買ってきただけ。」

お碗に味噌汁を注ぎ入れ、味噌汁とサラダ以外は出来合いだと話す源。

「出来合いでも何でも嬉しいよ、ありがとう！」

まだ温かいコロッケを頬張って二人に笑いかけた。

「いつから…きっかけは？あー、わかんない、わかんない。」

さっきの二人の会話をお風呂で思い出し、湯船でバチャバチャと暴れる。

…私から言うのもだし、向こうからの誘いを待つのも…緊張の日々を過ごすだけ。

「あ、そう…だ！」

子供の頃、どちらを選ぼうか悩んだ時によくしていた方法を思い出した。