甘い…生活？ (ページ45)

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45話目ページ45

「あいつの事、見た事あるか？」

薄暗くて狭い部屋に入り、マジックミラー越しに取調室の中を見る。

「知らない…。あの人は？」

「清掃会社で働く奴で、Aの会社にも出入りしてた。本当に知らないか？」

「うん、記憶に無い。」

源と部屋を出て、別室に案内され…今度は剛も一緒に入ってきた。

「山田山男、26才。Aの手から採取したDNAと一致。腕にも傷がある。本人は否定してるが間違いないはずだ。」

「Aが1人で家に居た時、山田は近くのビルで清掃を行っていた。昨日は仕事を休んで家の回りをうろついてるのを防犯カメラで確認済み。」

二人は私に説明をし、折り畳み椅子に座る。

「何で私…だったの？」

「今は黙秘していて何もわからないんだよ。」

「まぁ、口を割らせるけどな。」

「よ！睨みの源！」

「変な名前付けるな！呼ばれた事ねぇよ！」

足を組み、フンとそっぽを向いた。

剛は今日一日は休みを貰い、私と一緒に帰宅する。

「あー、やっぱ家が落ち着く～。」

ソファに大の字で寝転び、幸せそうな声で言った。

「お昼ご飯は何食べたい？ご飯屋さんに寄り損ねたね。」

「あ、そういえばA、仕事は？」

「私も休みを貰ったんだよ。剛が帰って来ないと気持ち的に落ち着かなかったから。」

「そっか、Aも休みか。って、腹減ってんの忘れてた。思い出したら急に…。」

お腹を抑え、足をジタバタとさせて私を見てくる。

「簡単なもの作るから待って。すぐに出来るからね。」

「うん、ありがとう～。」

冷凍パスタを使い、ナポリタンを作って出すと「美味い！」とあっという間に平らげた。

「源、昨日元気無かったんだよ。剛は大丈夫ってわかってるのに心配だったんだろうね。」

「あいつはぶっきらぼうなとこあるけど、熱い男だから。責任とか色々と考えてたんだよ。」

「…責任？」

「何で二人だけで帰らせたんだ…とか、Aに怖い思いをさせたとか、俺の怪我に対してもね。」

眠りが浅かったと言ってたのを思い出し、1人で悩んでたのかと悲しくなる。

「辛いなら辛いって…言ってくれたら「それは男だからこそ、警官だから考えた事で、Aに弱い部分を見せたくなかったんだと思う。ま、不器用な奴だから理解してあげて。」」

「じゃ、今日は…源の好きな和菓子を用意しておこうかな。」

「うん、喜ぶよ、あいつ。」

近所の和菓子屋さんに二人で行き、店員さんオススメの物を数点購入して帰ってきた。