2006年6月�� ページ35
想像以上に充実した戦利品を手にホクホク顔で(見た目にはわからない)店を出た家入を待っていたのは、着飾って出かけてきたのであろう女たちと、そんな女たちに囲まれ迷惑そうな顔で携帯をいじる大堰だった。
(そういえば、あいつも顔が良いんだったな)
普段、絵画か彫刻のような顔面を持つ同期を見慣れているせいで感覚が少し麻痺している気がする。
「A」
普段決して呼ばない名前を戯れに呼んでみた。
パッと上がった目は少し離れた場所にいる家入を的確に捉えた。
「邪魔」
道を塞いでいた女たちを一瞥し此方へ向かってくる姿に気分が浮き上がる。
「お前も十分クソだな」
「付き合ってんのにひでえ言われようだな」
自然な動作で持っていた荷物が奪われる。
側から見れば彼女をエスコートする彼氏だろうが、もちろんそんな関係では無い。
大堰の目は日の下で見ると金色に見えることがある。この目で蔑まれるのは、さぞ恐ろしく、背徳的だっただろう。
(私の連れだからな、回収させてもらうよ)
大堰を取り囲んでいた女たちの視線に家入の気分は最高潮まで押し上げた。
「いいもん買えたか？」
「まあね」
「次は？」
「服見たい。でもその前に昼にしよう」
「そういや朝飯食ってねえな」
「しょうがないから奢ってやるよ」
「めっちゃご機嫌じゃん、こっわ」
捻りを入れた家入の拳は大堰の体に当たる前に不可視の壁に当たって止まった。
五条の無限とは違う明確な壁の感触に首を傾げる。
「わりい、切り忘れてた」
大堰が小さな動作で手印を切ると、拳に当たっていた感触が消えほんのり温かさを感じる布地が肌に触れた。
「結界？」
「そ、化粧だか香水だか知らねえけど、鼻曲がりそうでさ、匂い切るのに使ってた」
「無駄遣い」
「有意義と言え」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 356人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんしゅ(プロフ) - 蛇足かと思いますが、書き方模索のページを見ました。自分はセリフが二つか三つきたらできるだけ地の文を入れるようにしています。地の文は状況説明プラス感情や考え、という風にしています。これからも頑張ってください (2021年7月26日 17時) (
レス) id: b8f455d9e2 (このIDを非表示/違反報告)
トト(プロフ) - コアさん» コメントありがとうございます。もみじ饅頭って広島なんですか？！無知を晒してしまいました、すみません…埴輪まんじゅうというのは初めて聞きました。ご指摘ありがとうございます。 (2021年3月1日 22時) (レス) id: 2fbe74351e (このIDを非表示/違反報告)
コア(プロフ) - こんばんは！とても面白いです！あのぉ、もみじ饅頭は広島県ではないでしょうか...。もし奈良のもみじ饅頭と言われる埴輪まんじゅうのことでしたらすみません...。 (2021年3月1日 22時) (レス) id: 175829ac21 (このIDを非表示/違反報告)
トト(プロフ) - 安仙任さん» コメントありがとうございます。不慣れで、返信が間違っていたらすいません。のんびり楽しんでいただけると嬉しいです。 (2021年1月21日 20時) (レス) id: 2fbe74351e (このIDを非表示/違反報告)
安仙任(プロフ) - とても面白いです！続きを楽しみにしてます！これからも頑張ってください(^^） (2021年1月21日 19時) (レス) id: 80f06437e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トト | 作成日時：2021年1月21日 13時
