55.落陽(山田三郎) ページ7
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「ぼく以外の人とは話しちゃだめ。ぼく以外の目を見ちゃだめ。ぼく以外と話しちゃだめだ。A、ぼくはAの為だけに言ってるんだぞ。」
つまるところ、ぼくは嫉妬で狂ってしまいそうなのだった。
Aの感じるぼく以外のすべてが憎い。そして、どれだけ縛ってもそれを破るAのこともまた憎くてたまらない。愛と呼ぶにはあまりに屈折したこの心の名称はいまだ謎のままだった。
「ぼくはきみのことが嫌いでこんなことを言っているんじゃない。好きなんだよ、誰よりも好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで大好きだから、きみがぼく以外にこんな感情を覚えるかもしれないと思うと、ぅ、うう、本当に！ぼくは本当におかしくなってしまうから」
覚えたてのキスも愛の言葉も、二人以外の誰にも必要ないと思った。
瞳孔がおびえているのは知っていたけど、今更戻れもしないと思った。
冬の夕方のにおいは残酷に。ぼくがきみの夢を、初めて見た時のように。
いかにも子供じみた言い訳を盾にぼくは愛のままごとをする。そんなんが免罪符になるわけもない。ぼんやりとした不安を抱えたままきょうも生きている。蟠りだらけの子供たちは、ひどく滑稽に見える。
それはぼくだけの為のひとりよがり。
損得も尊徳もない、まるで化け物じみた…
「あ」
ぼくたちはまだ不完全なんだ。そしてそれはもう満たされることはない。これからどう成長したって年を取ったって。完成されない愛の言葉を。身勝手にきみに吐きたかったけれど、どうしても喉の奥で痞えるんだ。やけどしたような痛みを伴ってぼくたちを麻痺させる。鈍感にさせる。
もうおかしくなってしまっているんだ。ぼくたちの目はとうに濁っている。大人になるより先に。きみを掌握したって戻れないのだ。限りなく恋に近いマインド・コントロール、きみにすべて捧げたいようで、きみのすべてがほしい。
「………」
Aの嗚咽に似た声を唇でふさぐ。彼女がぼくから離れようとするので、一緒の生物になるみたいに密着する。生きている。この瞬間だけは、ふたりぼっちで生きている。
温度も声も呼吸も鼓動も視線も肌も涙も悪意も心臓も、ぜんぶ融けて混ざり合う。細胞から生まれ変わる。ふれあう睫毛が線を失う。落陽の残滓の光が消し去る。
ぼくたちは悪になったのです。
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43沿い(プロフ) - 名前さん» リクエストありがとうございます！ユメゲンちっと久しぶりですね…！了解したしました！ (2021年3月15日 1時) (
レス) id: 4f61e3adde (このIDを非表示/違反報告)
名前 - 毎日覗いています!急なリクエクトなんですけれど崇拝型というか盲目的というかそういった風の夢野幻太郎さんってお願いできるでしょうか… (2021年3月9日 8時) (レス) id: bc5ff4fc8b (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - ユウコさん» 返信遅くなりましてすみません…山田了解いたしました！がんばって書きます！ (2021年3月9日 2時) (レス) id: 4f61e3adde (このIDを非表示/違反報告)
ユウコ - どうも初めまして!いきなりですがリクいいでしょうか？バスブロに愛されてるお話しは出来ますか？ヤンデレでも大丈夫です。もし無理ならヤンデレな山田一郎で彼女を誰にも取られたくない、可愛い過ぎて見られたくないから閉じ込めた、みたいなお話しでも良いので。 (2021年2月28日 21時) (レス) id: 72567c030f (このIDを非表示/違反報告)
43沿い(プロフ) - さやかさん» はじめまして！ヤンデレ好きな方に出会えてうれしいです！二郎くんがんばって書かせていただきますね！ (2021年2月27日 0時) (レス) id: 4f61e3adde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：43沿い | 作者ホームページ：https://plus.fm-p.jp/u/43zoiand3eda
作成日時：2020年1月12日 3時
