【ヒプノシスマイク短編集】俗悪

6.泥濘(山田三郎) ページ6

泥濘

A。
ねえ、こんど、ぼくの誕生日に、あなたの左の薬指をください。そうしたら、ぼくのと交換しましょう。それをお互いの断面に縫い付けて、ぼくのはあなたのに、あなたのはぼくのになるんです。きっと、動かすたびに痛んで、あなたのことを思い出すことができる。だけどゆくゆくは傷口が癒着してしまって、ぼくとAはいっしょに生きることができるんです。それって、すごく素敵なことだと思います。あなたも、そう思いますよね？

ああ、でも、あなたの手は、ぼくの手よりちいさくて柔らかいから、お互い、薬指だけ不恰好になるかもしれませんね。閉じない傷口。滴る血液。なんて綺麗なんだろう。
A。ぼくたち、いっしょに綺麗になりましょう。これは一種の浄化です。そして懺悔。ぼくたちは贖わなければならないから。神に傅きながら、いっしょに、同一の存在になるんです。

A。震えてる。ぼくが怖いの？
どうしてです？ぼくは、ア、ぼくはただ、あなたのそばにいたいだけなんです。
「三郎くん、もうやめてよ。」
やめるって何を？あなたを愛することを？あなたのそばにいたいと思うことを？ぼくが生きたい理由を持つのを？あなたはぼくを殺すんですか？
「………昔はそんなんじゃなかったのに。」
「黙れ！！！！！！！！」

あ、あ、ああ、ごめんなさい、あなた、あなたを、傷つけたいわけじゃ、A、ぼ、ぼくを嫌いにならないで。ぼくから離れないで。ぼくの言うことを聞いて。ぼくを愛して、愛して、ぼくがAのことを愛するように、ぼくのことを愛してください。

「わがままなぼくが嫌になったんなら、きっと直しますから。
あなたの好きなぼくになります。A。A、の、愛を、愛を、愛を…………」
「もういいよ。」
Aは泣いていた。
もういいなんて嘘だろう。あなたはきっと、これからもぼくを赦すことはしない。ああ、でも、もう戻れもしない。Aの涙を拭う。どうして、こんなに最低な気分になるんだろう。

A、息をするようにぼくのことを、見て、触れて、感じて、呼んで、愛して。
そうしたら、ぼくとAで、いっしょに消えてなくなりましょうね。

ー
ちょっと手抜きか？すいません・・・よくわかんなくなって

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