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家に着いて「ふぅ」と思わず零れたため息。部屋の電気をつけたけれど、眩しくて、間接照明だけを炊いた。大きなガラス窓を全開にして、秋手前の肌寒い風を送り込む。
「 ⋯⋯つかれた、」
港区某所に佇む高層マンションの25階。都会のビルの光や東京タワーが一望できて、その光が反射する東京湾なんかも見えちゃって。さすがに頑張ってるな、自分⋯と感傷的になっていると、不意に聞こえてきた機械音。
『 ども。うーばーいーつです 』
「 あは、ねぇ なにそれ 」
『 こらばかにすんな 』
「ふふ、してないけどさぁ 」
玄関のドアをガチャっと開けると、グレーのパーカーを着て、フードを被った顔の見えない彼。ダボッとしたスウェットを履いた何ともラフな格好で。なのに溢れ出るオーラはやっぱり別格だし、サングラスだってなにそれ高そう、みたいなのを着けている。
⋯そんな、芸能人オーラダダ漏れの紫耀くんが、美味しいご飯の入った袋をぶら下げてやってきた。
「 ⋯⋯ね、なんで来てくれたの？ 」
『 ん〜？ 』
「 会いたいなんて言ってない 」
『 それいつも言わないっしょ 』
靴を脱いでキッチンに向かうしょうくんの後を追って、ぴたっと横に立つと、私を見下げるその瞳とぱっちり視線が合った。すると、今度は私の頭に手をおいて、犬を撫でるみたいにわしゃわしゃ。もう、やめてよ。
『 おれ必要かなって思ったから 』
「 ⋯⋯え？ 」
『 ひとりで泣いちゃう前に、会いに来たよ 』
「 ⋯⋯⋯っ、なにそれ 」
『 ふは、Aちゃんおいで 』
「 ⋯しょう、くん 」
紫耀くんは魔法使いみたいな人だ。何が伝わったのかは分からないけれど、ため息の止まらない夜に、何も言わず会いに来てくれる私だけの魔法使い。
気付けば私の中のストッパーなんて切れていて、溢れ出る涙が紫耀くんのグレーのパーカーを濡らしていく。
『 一緒にお話しながらご飯たべよ 』
「 うんっ⋯⋯ね、しょおくん 」
『 ⋯⋯なあに 』
「 ⋯今日もありがとうっ 」
だから、今日も私はその魔法にかかったまま。
一生解けることの無い魔法にかかったまま。
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nene(プロフ) - 更新待ってます！この作品大好きなのでゆっくりでいいのでお願いします！ (2023年2月22日 21時) (
レス) id: 98960ac31e (このIDを非表示/違反報告)
うな！ - 更新待ってます！ (2023年2月22日 21時) (レス) @page32 id: 4785f44992 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 何度もすみません。本当にこの小説大好きなので、少しずつでも更新続けてくれると嬉しいです(＞＜) (2023年2月22日 14時) (レス) @page32 id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 大好きなので更新待っています！ (2023年1月3日 14時) (レス) id: 4cb7560b67 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2022年12月18日 6時) (レス) @page32 id: 98960ac31e (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年9月29日 3時
