ねぇ、そばに居させて？【地縛少年花子くん】 (ページ9)

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なーな。【トイレの花子さん】ページ9

(なんで……？
なんでこんなことになっちゃったの？私、あんなに頑張ったのに……

……違う
　ほとんど話したことも無い。光璃の言う通り名前も覚えてもらおうとしなかった。頑張ったって何を？
　見当違いの努力して。報われるって思い込んで。怪異(こんなもの)にまで頼って、自分のことばかり。

私……)

「自業自得だ、ぜんぶ」

「寧々ちゃん！やっと見つけた！」

　魚の姿になって、干からびかけていた寧々ちゃんを花子くんが水槽の中に入れる。暫く水の中に入れて置いたら、息ができるようになったのか目覚めた寧々ちゃんに追い討ちをかけるように水槽を持ち上げ、鏡の前に行き自分の姿を確認させる花子くんは、外道と言っても過言じゃあないはず……

『ええーー！？なんで魚類！？』

「喜んでる喜んでる」

『ちがう！』

「言っただろ？代償が伴うって」

　そう言いつつも窓辺の机に水槽を置けば、その隣の机に花子くんも座り込んだ。ちゃっかりと花子くんの膝の上に私も座っているが、花子くんも寧々ちゃんも何も言ってこないから特に問題は無いだろう。

「これが人魚の呪いなんだよ
もし寧々ちゃんが先輩にも鱗を飲ませてたら呪いは分散して魚の姿にはならなかったの。永久的に体の一部に鱗が生え、長時間身体が濡れたら魚になる程度だと思うよ
でも、この呪いの本当に怖いとこは別にあるんだ。鱗を飲んだものは人魚から死ぬまでずっと自らの下僕にする為にその身を狙われる。
魚の姿になるのはオプションみたいなものなんだよ」

《まっことなめげなり
妾が折角いとうつくしき姿に変えてやったものの
まぁ良い。喜べ小娘
今からお前は妾のしもべ
せいぜい可愛がってやろうぞ》

　地響きのような、不快な声のようなものが教室中に響き渡ったかと思えば、どぷん。と教室の中央が黒い沼に沈んでいく。眷属になった寧々ちゃんを迎えに、人魚が来たのだ。

「ミツリ、どのくらいで出来る？」

「んー、術自体は30秒あったらかなぁ？
結界も入れれば1分。花子くんがごほーびくれるんなら30秒でどっちも終わらすよ！」

「あとでね、ヤシロのことよろしく頼んだよ」

「もちろんだよ花子くん！」

　目の前に脅威がいるというのに、悠長にも作戦会議してるだなんてなめ腐っているように見えるのだろうか。実際、人魚程度じゃ大した相手でもないのだからいいのだけど。
　ぴょんっと花子くんの膝から降りれば寧々ちゃんの方に向き直った。