第116話 ページ21
私が目を点にしていると、凜はますます不思議そうな顔をした。
「誰って...春美どうしたの?わからないの?」
「うん...わからない。凜は、誰のこと言ってるの...」
「どうして?心当たりもないの?」
私は、うん...と頷いた。
凜の目が、どんどん見開かれていく。
私は凜の顔を見つめて、困惑していた。
「拓磨のことだよ。」
「えっ...」
凜の口がそう動いた瞬間
突然私の頭に、大きな痛みが襲った。
「っーーーー!!!!!!」
「春美っ!?大丈夫?」
突然しゃがみこんだ私に、凜は慌てて叫んだ。
「春美っ春美!?大丈夫?...春美!」
「だっ...痛...」
大丈夫だって言おうとしたが、それよりも痛みが大きすぎて私は返せなかった。
凜は必死で声をかけてくれる。
でも私は、無力にもそのまま倒れ込んだ。
私の体を必死に揺さぶる凜の姿も、どんどん薄れていく。
「春美っ...春美!!しっかりして!!春美!!」
私を呼ぶ凜の声もどんどん小さくなっていって
耳も目も、そのまま封じられていくような感覚がした。
あぁ
凜に会えたのも一瞬だった。
私はこのまま地獄で
罪を償っていくってことなんだよね...
すぅっと意識が抜き取られて
周りが真っ暗になって
今自分がどんな姿をしているのかも
どこにいるのかも
全くわからないまま
ただただ無の空間を、さまよっていた。
ーーーつもりだった。
「春美!!!!」
「...」
誰かの大きな声が聞こえて
私はゆっくりと瞼を開いた。
だんだんと明るくなって見えてくるその景色は
無機質で、無感情で
ピー、ピーと機械音が鳴りあふれている。
だんだん自分の感覚も蘇ってきて
目の前で私を呼ぶ人の顔も見えてきて。
ここは...
「びょう...いん...?」
そう思った途端
私ははっきりと目を覚ました。
「春美っ!!わかる?よかった...っ先生!!!!」
目の前の人は私の顔を涙目で見つめた後に、顔を後ろに向けて先生と呼ばれる人に叫んでいた。
「先生!!春美が、目を覚ましました...春美、よかった...とにかく生きててよかった...」
そう言って目の前の人は、私の手を握ってとても嬉しそうな顔をする。
きっと私は、この人と嬉しい気持ちを共有してあげた方がいい。
だけど
だけど私は
どうしてここにいるの...
なんでこんなに、全身が痛いの
私は...一体何を...
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fruit(プロフ) - いちうさぎさん» いちうさぎ様!!また私に作品を作る機会を作って下さって本当にありがとうございました!私はまだ今作と前作しかありませんが...楽しんでいただけると嬉しいです!!本当にありがとうございます!!(告白は快くお受け致します) (2020年7月23日 0時) (
レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
いちうさぎ - fruitさん» はあ・・・好きです(唐突な告白)まじで面白かったです！他の作品も今から読ませていただきます！執筆、本当にお疲れ様でした！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年7月22日 19時) (レス) id: d12e33a79f (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 水の犬。さん» もちろんしっっっっっっっっっかり覚えさせて頂いております水の犬。様!!毎回毎回丁寧なコメント本当にありがとうございます...凄く嬉しいです!「こちらの作品が大好き」もうこれ以上ない嬉しいお言葉です...幸せをかみ締めております...ありがとうございます... (2020年7月20日 22時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは、お久しぶりです。覚えていなかったらすみません。番外編も読んでいてすごくゾクゾクしました(いい意味です)！改めてこちらの作品が大好きだなと感じました。 (2020年7月20日 18時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - いちうさぎさん» お待たせいたしました!!!遅くなってしまって申し訳ありません...気に入っていただけるかはわかりませんが、読んでくださると嬉しいです!リクエストありがとうございました! (2020年7月20日 17時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fruit | 作成日時：2019年8月13日 23時
