第98話 ページ3
拓磨は、私の絶望した顔を見ながら、ゆっくりと話し始めた。
「春美がここに来てすぐの時、実は凜の話を聞いてたんだ。仲良い子ができたって、春美喜んでた。春美は覚えてないみたいだけどね。
凜の名前は別に珍しい名前でもないから、確信はしなかったけど、地元に近いっていうのと、春美の地元に凜が詳しいっていうのが気になってた。だからいつか確かめようと思ってたんだ。でも、気づいたら2年も過ぎてて、もし春美や凜が大学生になって引っ越す、なんてことになったら、行方がわかんなくなっちゃうかもしれないから、この夏休みに確認しに行こうって決めた。
もし本当に僕の双子の凜なら、彼女は無類の本好きだから、図書館に行けば会えるだろうって思って、学校の近くの図書館に入り浸った。
入口近くのソファに座って、一日中待ち伏せした。1日目は、見事に空振りで、やっぱり僕の思いすごしかなって諦めかけたんだ。だから次の日もう一回待って、見つからなかったら春美に一言挨拶して帰ろうって決めて、次の日リベンジした。
そして次の日、開館とほぼ同時に図書館に行ったらびっくりしたよ。まさに図書館に入っていく凜の後ろ姿を見かけたんだ。5年経っても凜は凜で、後ろ姿ですぐわかった。
こんな所にいたんだ。5年間も秘密を隠しながらどうやって生きてたんだ。いや、もしかしたらもう誰かに口を割っているかもしれない。一体何を考えているんだ。苗字まで変えて、何をするつもりなんだって...一気に凜に聞きたいことがたくさん込み上げてきて、今すぐ話をしないとっていう衝動に駆られた。
でも、今ここで突然話を始めて、誰かに聞かれても困るし、騒がれても困るから、とりあえずは声をかける程度にしておこうと思ったんだ。はやる気持ちを必死で抑えて、図書館内を歩き回って探した。そして学習室に入った時、たった一人で本を読む凜の姿を見つけたんだ。
正直、僕は怖かった。凜が僕に対して何を思っているのか想像つかないし、声をかけたらどういう対応をされるかもわからないし。でも、凜があの秘密を誰かに言っているのかどうかだけ確かめたかった。せっかく凜の居場所を掴んだのに、それを無駄にするなんてことは、到底できなかった。だから僕は、声をかけようと覚悟したんだ。」
私は静かに目を瞑り、頭の中で想像した。
凜が拓磨と再会する時。
その時凜は、一体どんな気持ちだったんだろう。
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fruit(プロフ) - いちうさぎさん» いちうさぎ様!!また私に作品を作る機会を作って下さって本当にありがとうございました!私はまだ今作と前作しかありませんが...楽しんでいただけると嬉しいです!!本当にありがとうございます!!(告白は快くお受け致します) (2020年7月23日 0時) (
レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
いちうさぎ - fruitさん» はあ・・・好きです(唐突な告白)まじで面白かったです！他の作品も今から読ませていただきます！執筆、本当にお疲れ様でした！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年7月22日 19時) (レス) id: d12e33a79f (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 水の犬。さん» もちろんしっっっっっっっっっかり覚えさせて頂いております水の犬。様!!毎回毎回丁寧なコメント本当にありがとうございます...凄く嬉しいです!「こちらの作品が大好き」もうこれ以上ない嬉しいお言葉です...幸せをかみ締めております...ありがとうございます... (2020年7月20日 22時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは、お久しぶりです。覚えていなかったらすみません。番外編も読んでいてすごくゾクゾクしました(いい意味です)！改めてこちらの作品が大好きだなと感じました。 (2020年7月20日 18時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - いちうさぎさん» お待たせいたしました!!!遅くなってしまって申し訳ありません...気に入っていただけるかはわかりませんが、読んでくださると嬉しいです!リクエストありがとうございました! (2020年7月20日 17時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fruit | 作成日時：2019年8月13日 23時
