第106話 ページ11
私はその場に泣き崩れた。
凜は、自ら飛び降りたんだ。
私や山田家との関係を切らないために
拓磨の制止を振り切って、自ら進んで落ちてった。
「っ...なんで...。なんで最後まで止めてくれなかったの...。」
私が拓磨にそう訴えると、拓磨はなんの表情も出さずに無機質に言った。
「養子縁組の代諾者とやらの名前も聞きたかったんだけどね。凜がその名を言うつもりがないことはわかったし、凜が自ら終わらせたいって言ったんだ。もう僕には、止める理由は残ってなかったよ。」
「だからって...」
私は込み上げてくる涙を、止めることは出来なかった。
拓磨は止める理由がないって言うけど
そんなの私からしたらただの言い訳で
凜の状況を把握しているにも関わらず
救おうとするどころか追い込むようなやり方をして
なおかつ人が、それも双子の妹が命を捨てようと言うのに
それを理由がないからと言って止めない、だなんて...
私は何も言えずに、ただただ床に向かって泣き続けた。
「...ちょうど最後に凜が、僕を睨んだのも、その辺だったよ。」
その言葉が聞こえて、私がゆっくりと拓磨の方を見ると、拓磨は真っ直ぐに私を指さしていた。
ここで、凜は
恐ろしくてたまらない拓磨に
最後に必死で立ち向かったんだ...
私は地面で強く拳を握ると、ゆっくりと起き上がり、顔を上げて、拓磨の顔をじっと見つめた。
「...すごいね。その顔と姿勢。凜とそっくりだよ。」
拓磨はそう言って肩をあげる。
私はその姿勢のまま、拓磨に低い声で言った。
「拓磨...。私はあなたを許せない。絶対に許せない。私の大事な凜を、消したも同然の人なんだから。」
私がそこで言葉を切ると、拓磨は当然だよ、と呟いた。
そして私は拓磨の目奥をじっと見つめて、はっきりと伝えた。
「拓磨...。私はもう二度とあなたと関わりたくない。あなたが私の彼氏だったっていう事実さえも消し去りたい。今後一切の縁を切ってほしい。
きっと凜も、それを望んでる。凜は自分のせいで私の人生を壊したって後悔してる。それを少しでも解消するには、もう縁を切るしかない。
拓磨ももう、あっちへ帰って。私とあなたは、二度と出会っちゃいけない。」
私は口を止め、小さく息をした。
拓磨は私の目を見たまま何も言わない。
私は小さな声でさようなら、と言って、拓磨の横を通り抜けた。
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fruit(プロフ) - いちうさぎさん» いちうさぎ様!!また私に作品を作る機会を作って下さって本当にありがとうございました!私はまだ今作と前作しかありませんが...楽しんでいただけると嬉しいです!!本当にありがとうございます!!(告白は快くお受け致します) (2020年7月23日 0時) (
レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
いちうさぎ - fruitさん» はあ・・・好きです(唐突な告白)まじで面白かったです！他の作品も今から読ませていただきます！執筆、本当にお疲れ様でした！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年7月22日 19時) (レス) id: d12e33a79f (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 水の犬。さん» もちろんしっっっっっっっっっかり覚えさせて頂いております水の犬。様!!毎回毎回丁寧なコメント本当にありがとうございます...凄く嬉しいです!「こちらの作品が大好き」もうこれ以上ない嬉しいお言葉です...幸せをかみ締めております...ありがとうございます... (2020年7月20日 22時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - こんばんは、お久しぶりです。覚えていなかったらすみません。番外編も読んでいてすごくゾクゾクしました(いい意味です)！改めてこちらの作品が大好きだなと感じました。 (2020年7月20日 18時) (レス) id: 88a373f457 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - いちうさぎさん» お待たせいたしました!!!遅くなってしまって申し訳ありません...気に入っていただけるかはわかりませんが、読んでくださると嬉しいです!リクエストありがとうございました! (2020年7月20日 17時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fruit | 作成日時：2019年8月13日 23時
