第15話 ページ16
私がゆっくりと息を吸うと、拓磨は私の言葉を待つように黙った。
私ははっきりと拓磨に伝えた。
「拓磨。拓磨がこの前の電話の時に言ってくれたことは間違ってない。危険だってことも間違ってない。言う通りだよ。でもね、それでも私は凜がこの世を捨てた理由を知りたい。私の大好きな凜が、姿を消した理由を知りたい。そうしないと私がやりきれない。私が凜を失うってそれだけの事なんだよ。きっと。理由がなければ納得出来ない。
...100%拓磨の同意を得ようとは思ってないよ。でも、ちょっとでもいいから私の気持ちをわかって欲しい。もう凜のご家族とも話した。私の決意は変わらないよ。私は、絶対にやり遂げる。」
そこまで言って、私は言葉を止めた。
感情的にならないように、必死で抑えてもやはり語気は強くなってしまった。
結局感情任せじゃないかと思われるかもしれない。
でも、それでも、拓磨なら私の決意をわかってくれるはず。
私は黙ったまま、拓磨が言葉を発するのを待った。
どう反応されるか、緊張は隠していたが、私の心臓はうるさく鼓動していた。
しばらくしてから、拓磨が口を開く。
『...決意が強いことは前からわかってたよ。それでも賛成はできなかったけど...そこまで言うなら僕が折れるよ。』
折れる。
私は目を瞑ってその言葉を心の中で反芻した。
それは完全な同意を示す言葉ではなかった。
多少譲歩する、といったところだろう。
なんと返事しようか考えていると、拓磨は再び口を開いた。
『でも...春美の行動を認める以上、協力...とかすべきなのかもしれないけど、それはできない。僕の中にはやっぱり反対の気持ちがあって、春美の助けをすることは少し抵抗がある。邪魔はしないよ。絶対邪魔はしないけど、でも、協力はできないってことはわかってほしいな。』
「うん。もちろん。十分だよ。」
私はそう返した。
拓磨が私の行動を認めてくれるだけ有難い。
協力して欲しいなんておこがましいこと思わない。
邪魔しない、って言ってくれるだけ本当に有難い。
「...拓磨が優しい人でよかった。わたしが素直に謝れたのも拓磨が話を聞いてくれるってわかってたからだよ。本当にいつもありがとうね。」
心のままを伝えると、拓磨は言葉を詰まらせた。
...照れているのだろうか。
少し待つと、拓磨が声を発した。
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fruit(プロフ) - 鳥の子さん» うわぁぁぁぁ嬉しいお言葉ありがとうございます!!そして読みに来てくださってありがとうございました!!自分の作品をこんなに好きって言って貰えるとすごい嬉しいのですね...いますごくテンション上がってます笑コメントもしてくださってありがとうございました!! (2020年1月26日 0時) (レス) id: dc8b637267 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - 一通り読んで参りました……!好き……。余りにもLOVE過ぎて……。もう説明文の所から夢主ちゃんの覚悟が伝わってきて、けれど最終的には後悔してしまうのだろうな(覚悟ほしていたけれど)とか思っちゃうとLOVE……。更新頑張られてください!! (2020年1月18日 17時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 凛奈さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!!凛奈様のような読者様がいらっしゃるので頑張れるわたくしです。これからもどうぞよろしくお願い致します!! (2019年5月28日 17時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
凛奈(プロフ) - 更新楽しみにしてます!すんごい面白いし、好きです!! (2019年5月28日 6時) (レス) id: 225bb681ca (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 花風雪 サブありさん» うわぁぁ嬉しいコメント!!!読んでくださって本当にありがとうございます!!!今はテスト前で少し更新をお休みしていますが、来週からまた再開します!まだまだ続きますよ〜!?これからもよろしくお願いいたします!!! (2019年5月26日 7時) (レス) id: 479b2f8b1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2019年3月4日 22時