第53話 ページ13
リベラside
ラサゴベアが帰った後
遠くから段々と急いだ足音が聞こえてきた。
ッダッダッダ・・・
ガチャン
「リベラ様！！！！」
「え...」
勢いよくドアを開けて入ってきたのは
ーーキリトだった。
「キリトっ...」
私はキリトを見た瞬間、
安堵感に包まれた。
それと同時に
何かが解き放たれたように、涙が溢れてきた。
「っ...」
泣き崩れる私に、キリトが駆け寄る。
「リベラ様っ...」
優しいキリトに、私はお礼の言葉も言えない。
声を出そうと思っても涙が邪魔をする。
キリトは優しく私を抱きしめた。
「リベラ様、落ち着いてください。みんな、リベラ様のお傍にいますよ。」
「っ...」
暖かい。
それが嬉しくて、
もう涙を止めようとするのはやめた。
「大丈夫です。大丈夫・・・。みんなが付いてます。
「うん...」
うん、としか言えない。
キリトだって私が泣くのを止めようとしているのではない。
私はただキリトにすがった。
「みんなリベラ様が、大切なんです。前々から言っていたことです。私たちには、頼ってください。」
「うんっ...」
キリトはさらに私を力強く抱きしめた。
ずっと、私の耳に、言葉をかけてくれた。
ただ座り込むだけしかできなかった私を
そのまま受け止めてくれた。
「どうか・・・無理だけはしないでください・・・」
ぎゅっと抱きしめてくれる。
私はアリオンに生まれてよかった。
こんなに暖かい人たちと出会えたのだから。
私が泣き止んでからも、みんな気を利かせて私に何も聞かず、私に早く寝るよう勧めた。
そしてその次の日。
朝起きると、部屋の外が騒がしかった。
「何事...?」
今日は学校に行きたくないから休むと言っていたのに。
そっと扉を開けて、廊下を覗いた。
バチッ
あ
ーーー思いっきりルナナと目があった。
ルナナはその瞬間叫んだ。
「リベラ様！おはようございます！すいません・・・！私はちょっと色々準備が忙しいので、お一人でお着替えくださぁぁぁぁい！」
ルナナは叫びながら遠くに走って行った。
「何がそんなに忙しいの...。」
そんな質問に答える人なんかいない。
私は疑問を抱えながらドアを閉めた。
いつも着替えは1人でしている。
毎朝、毎晩ルナナにお手伝いしますと言われるのだが、毎朝、毎晩断っている。
それくらい1人でできる！
非公開の身、それらしくせねば！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fruit(プロフ) - アリスティーナさん» 嬉しいコメントありがとうございます!!こんな昔の作品を掘り起こして頂いて、しかもそんな素敵なお言葉ありがたい限りです...少しずつ暇を見つけながらまだまだ修正していく予定ですので、もっと上手くかけるよう頑張ります。コメントありがとうございました! (2021年6月1日 17時) (
レス) id: 9e79a81734 (このIDを非表示/違反報告)
アリスティーナ(プロフ) - 面白いです！！！！書き方教えて頂きたいくらいです！！ (2021年5月31日 12時) (レス) id: c1ac6cc63c (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - あいさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません...!とても嬉しいお言葉、本当にありがとうございます!少しずつ直しておりますので、もっと素敵なお話にできるよう頑張りたいと思っております。どうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年2月27日 4時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 素敵な話ですね (2021年1月19日 17時) (レス) id: 1883dbefc1 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 月夜桜さん» おおーーありがとうございます！とても嬉しいです!! (2018年1月14日 19時) (レス) id: 1c29b9fd37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fruit | 作成日時：2016年8月11日 0時
