LIKIYAさん、陣くん、 ページ8
* 海青 10才 *
「 なんで
「 仲間を思いやれない奴は此処には必要ないんだぞ 」
LDH本拠地の一室
俺ら訓練生のリーダーを務める二人に説教される
なんで?
なんで俺ばっか怒られんの?
一番悪いのは
「 来年は部隊編成の話も出てるんやで
皆、そこに向かって頑張ろうって話し合ったばかりやないか 」
俺は悪くない!
だから言ってやるんだ
「 LIKIYAさんと陣くんは本当にそう思ってるの? 」
「 はあ? 」×2
「 あんな怖がりで、何やんのも樹の助けがないと出来ないんだぞ!
アイツは俺らの足手まといだよ
木登りを嫌がって
泳ぐのも怖がって
無理矢理池に突っ込んだら、アイツは熱出して、ヒロさんたちに怒られたっけ
・・・ものスゴク
「 あんな奴嫌いだよ
いつもいつも樹ばっか頼りにしやがって・・・ 」
樹に伸ばす白い腕が嫌いだ
樹を呼ぶ甘えた声が嫌いだ
樹だけに向ける笑顔が嫌いだ
「 あんな顔、俺には絶対しない・・・ 」
アイツの笑顔は俺をざわつかせるんだ
「 はあ、海青、お前気づいてないんか? 」
「 へっ? 」
なんにだよ?
「 まあいい
罰として今晩は飯抜きだ 」
「 ええー! 」
「 ええー!じゃない。 自習室で反省しろ 」
硯と筆、それに墨と半紙を持たされて、
いいと言われるまで写経しろだってさ
・・・、・・・、・・・は、は、腹減った――――!!
あれからどんくらい時間が過ぎた?
ぐ〜、グー、GOO
メシよこせって、腹の虫が怒涛の催促
コンコン♪
自習室のドアがカチャリと開いて
「 !! 」
「 おばあが作ってくれた 」
「 お前、バカじゃねーの。ばれたらLIKIYAさん達に怒られるんだぞ 」
「 いいの。かいせがお腹すかせてるほうがイヤなの 」
『 はい 』って俺に差し出した白い腕
樹じゃなく
俺に・・・ハジメテ
奪うようにおにぎりを取り食べた
『 おいし? 』って言葉と一緒に向けられた笑顔
無言で頷くと『 よかった 』ってまた笑う
不思議だ
俺に向けた
ざわつかない
*
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作者名:姫保 | 作成日時:2018年10月20日 0時