アメリカ帰りの最強選手が日本代表を鍛える話【オリオンの刻印】

Side Story：裏切り者 ページ49

「───この中に一人、他派閥からの潜伏者がいる！」

鬼道の一言に日本代表一同に衝撃が走った。

「ちょっと鬼道さん！？潜伏者って一体……」

稲森が尋ねると、鬼道は冷静に、

「簡単なことだ。俺たちの中にイナズマジャパンを潰すために暗躍している裏切り者がいる、というだけのこと」

そして声色に威圧感を込めて続ける。

「それも、豪炎寺の負傷とも繋がりのあろう奴だ」

その声に怖気付いたのか、一星は人知れず目線を下に向けた。

「だ、誰がそんな」
「俺は知ってるよ」

どんよりとした雰囲気の中、凛とした声が響いた。
そう、Aである。

「この中に一人だけ、他派閥からの回し者がいるってのは事実だ」

その言葉を受け、辺りは一気にどよめく。

「夢野。そいつは一体誰なんだ？」

円堂が聞くと、Aは一星の方をまっすぐに睨む。
一星が決まりが悪そうに睨み返すと、Aはフッと笑い、こう告げた。






「──吉良ヒロトだ」

視線が一気に吉良へと注がれる。

「はっ、はぁあ！？俺じゃねぇぞ！！」

当然吉良は驚きを隠せない。

そしてAの発言には鬼道も予想外だったようで、

「一応聞くが、証拠はあるのか？」
「あるとも。証拠もなしに当てずっぽうで言ってると思ったら大間違いだぞ？」

Aは不敵に語る。

「全ては動かぬ証拠……『数』が物語っているのさ」
「数？」

頭上に疑問符を浮かべる一同の前で、Aは説明を始めた。

「まず、吉良ヒロトに関する3つの数字を提示しようか。彼を表す3つの数字とは…そう、1と2と9。1月2日生まれの、背番号9番だ」

一同は興味ありげに食いつく。

「次にその3つの数字をかけてみよう。1×2×9=18」
「だからなんだってんだよ！」

我慢ならない吉良が言葉を挟む。

「まあ落ち着きたまえ。さぁここで、先ほどの『3つの数字』というところに再度焦点を合わせてみようか。……坂野上くん、18を3つの数字にするにはどうすれば良いのかな？」

突然指名された坂野上は慌てて、

「あっ、はい！えっと、3で割るんだと思います！」
「よくできました。18÷3で、6だね。つまり、だ。6が3つあるということで……」



「吉良くんはフリーメイソンからの刺客だね？」
「違ェよ！！！」

辺りの空気はどっと明るくなる。

「ヒロト、そうだったのかい？」
「何真に受けてんだよ！！」

基山が心配そうに尋ねた。

「パンドラの箱開けちゃったわけだよね〜」
「剛陣先輩、某Mr.都市伝説の真似しなくていいです」

万作が冷静にツッコむ。

「まぁ、あれだ。信じるか信じないかは、あなた次第！」
「信じるな！！」

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