169、人たらしな獣 ページ10
「あ、クロロ。除去だけど、早めにやりたいから今日の昼はフェイタンと此処を離れるけど良いかしら?」
皆の意識を逸らすために、興味を引ける質問を意図的に投げ掛ける。クロロが笑みを浮かべたまま目を向けてきて、どこか見定めるように細めた。
「此処でやった方が安全だと思うが?」
「彼にかけられているのは”旅団を殺す”念なの。旅団員が側に居たら念が強まってしまうかもしれない。除去する時もかけた命令は解かないけれど、万が一能力の効果が切れないともわからない……安全に、確実にやるためには引き離す必要があるの」
顎に手をやり、クロロが思考するのを真っ直ぐ見つめる。念を押すように、私はその他の不安点を告げる。
命令の効力がもし切れた場合、もう一度かけるのに意思を揺り起こす時間が必要でタイムラグが発生すること。
揺り起こすために接触しようとした場合、念に敵と認識されてしまうかもしれないこと。
「そうなったとしてももう一度支配下に置くことはできる。けれど、念を刺激するような要素はなるべく遠ざけておきたいの。不測の事態は少ない方が良いでしょう?」
「一理あるな。わかった、許可しよう。仲間にもくれぐれも近付かないよう伝えておく」
「連絡はアタシがやる。ほら、アンタも来な」
「え、いやボクは……◆」
「ヒソカ、連絡お願いね」
「◆ ……うん◆」
躊躇うような気配がしたから、私からも改めてお願いする。すると、眉を軽く寄せて複雑そうに笑みを浮かべて頷いた。
二人が行くなら連絡の食い違いもないし安心だ。笑顔で見送れば、クロロが可笑しそうにまたも肩を揺らした。
「どうしたの?」
「いや……手強い、と思って」
「本当にそうよね。死者の念というものはとても強くて、初めにフェイタンの意識を揺り起こした時もとてもしつこかったのよ」
「そうじゃないが……死後強まる念は並大抵の者では徐念できないからな」
クロロがずっと笑っている。何か面白い発見でもあったのかと聞いても、何でもないと返答されるばかりだ。
私には言えないことなのだなと聞き出すことを諦めて食器を片付けた。
「此処の本は読ませてもらって構わない?」
「好きに読めばいい。暇潰しか?」
「昼まで少し時間があるから。フェイタンも自由にしてて大丈夫よ?」
側についていたフェイタンに言えば、彼は相変わらず眉を寄せたまま黙っている。何故黙ったままなのかわからず首を傾げれば、クロロがまたもくつりと笑った。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です! (9月18日 1時) (レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます!!続きがとても気になります!!イルミ落ちがいいです! (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました!!とても面白くてこのシリーズ大好きです!もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます!頑張ってください!! (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました!私はこのシリーズがとても大好きになりました!もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています! (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです!更新待ってます! (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年9月4日 4時