１６８、一触即発？ ページ9
「腕、掴んでごめんなさい。杞憂だったようで良かったわ」
立ち上がるときに思わず蹴飛ばしてしまった椅子を起こそうと手を伸ばすも、フェイタンの手に阻まれた。
そのまま椅子を起こしてくれたフェイタンは、私の目をじっと見る。
「紛らわしいコトしてわるかたよ」
「いいえ。その、ヒソカは何を言ったの？ もしも失礼なことなら、」
「言うよなことじゃないよ。ささと食え」
代わりに謝るわ、と言おうとしたのを遮られた。食い下がってみても早く朝食を食べろと急かされるのみで、ヒソカの発言については教えてくれそうにもなかった。
仕方なく座り、再びサンドイッチを手に取る。
うん、美味しい。マチにお礼を言わなくては。
ちょうど良いタイミングで扉が開いて、先程退室した二人が戻ってくる。その後ろからクロロが来るのも見えた。
「マチ、美味しい朝食をありがとう！」
「っ、パンにただ食材挟んだだけだよ。それ以外何もしちゃいない」
「ええ、でも、ありがとう。美味しいわ。それとクロロ、おはよう」
「ああ、おはよう。寝覚めが良いかはおいといて、よく眠れたか？」
とてもぐっすり。そう返せば、クロロは視線を切って下へと向けた。正しくは、私の左手へと。
「本当にすぐ、治るんだな」
「治ったと言っても、感触からしてまだ傷跡が少し残っている頃よ？」
背後から腕を取られる。敵意も何も感じないその挙動に一瞬気付くのが遅れて、あ、と思ったときには、フェイタンが私の手を確認したところだった。
半ば手を挙げるような形で静止し、困惑する私を見て、クロロがくつくつと笑う。
「フェイタン、周りが混乱してるぞ」
パッと無言で離される。なんだったのだろうと振り返ってもそっぽを向いていて横顔しか見れない。
意図はわからないけどフェイタンには後で確認してもらうとして、今は朝食を食べてしまおう。
正面を向けば、再びクロロと視線が合う。
「便利な能力だな。それもお前の力か？」
「ええ」
「つくづく惜しい。空きがあればすぐにでも蜘蛛に入れるんだが、ないからな」
背後でヒソカのオーラが一瞬揺らめいた。
「例えアナタでも、彼女は譲れないな……◆」
呼応するように、マチとフェイタンのオーラが揺らめく。クロロはそれを前にしても意に介さず、薄く不敵な笑みを浮かべた。
「蜘蛛に欲しいと言ったんだが？」
「……そう◆」
張り詰めたような空気が漂う。痛い沈黙が辺りに広がる。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
