１７１、面従腹背は愉悦のために ページ12
「そりゃあ気に入りもするさ。彼女はとても興味を引かれるだろう？◇」
何言ってるんだと言わんばかりの視線と罵声をさらっと流してマチの言葉を肯定すれば、片方は不本意そうにしながらも否定できないといった様子、もう片方は表情に肯定を露にした。
「まぁ……そりゃ、そうだけど。素直だし」
「美人で底知れないよね。あと結構強い。彼女が念を使いこなせるようになったら確実に厄介だよ」
そう、ソフィアは底知れない。くるくると変わる表情、際限なく成長していく力、潜在能力の高さ。まるで何でも出てくるビックリ箱のように飽きさせない。
一度蓋を開ければ、きっと見るもの全てを魅了する。
「ま、アンタが執着してる理由は知らないし知りたくないけど。あの子は団長が目をつけてるからね」
だから、諦めな。言外にそう含んだように聞こえて、思わずじわりとオーラを揺らす。
つられて僅かに敵意を見せるマチに、威圧するように揺らしたまま笑みを向ける。
「こら二人とも、団員同士のマジギレ禁止だよ」
シャルナークの言葉にオーラを鎮める。まだ狩りの時期じゃないから従う意思は見せないと、ね。
「キレてない。……シャル、連絡。徐念するから今日の昼はフェイタンとソフィア、アジトからちょっと離れるからね」
「二人だけで？ 団長はなんて？」
「許可するってさ」
「まぁ、ソフィアなら変なことしないだろうし大丈夫か。了解」
短期間で蜘蛛の信用を獲得するなんて、とちょっと思う。それほどまでに仲間を助けられたのが嬉しかったのか。
否、それだけではない。ソフィアにとって何の利にもならない行動こそが、彼女が信用に足ると判断された要因だろう。
連絡の礼を言って、彼は離れていく。マチもまた、次に伝える相手を探すため歩き出す。
誰も何も言わない。ボクがただ彼女について歩いているだけという状況でも。そもそも、連絡をするのに二人も人は要らないということにも。
それは、彼女がボクの見張りをしているからだ。場を引っ掻き回しかねない不確定要素を見張り、確実に仲間を助けるために。
ボクは信用されていない。彼らを信用する気もないし、それでいいと思ってる。
でも、だからこそ。
ソフィアから向けられる信頼にだけは、特別に弱くなってしまう。嬉しいからこそ尚更に。
「なにニヤついてんの」
「いいや、なにも◇」
ああ、誰にも、ましてや蜘蛛になど彼女は渡さない。
彼女を最初に見つけたのは、ボクだ。
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
