１６１、理性と本能 ページ2
【ソフィア side】
赤く染まった草原。倒れ伏す人々。散らされた鮮血のように紅い空。その中心でしゃがみこむ私。
「馬鹿な子」
私の唇がそう言った。
「なんで助けたの？ 人間なんて幾らでもいるのに」
ボドロやフェイタンのことだと理解する。
違う。そう否定したかった。でも、できない。正しくは、否定できるほど思考が回っていなかった。
だって、目の前の光景は私が作り上げたのだから。
「彼だってそう。攻撃してきた。敵だよ。殺さないの？」
イルミのことだと認識する。それも、違うと否定したかった。
なのに体が動かない。まるで自分のものじゃないかのように。
「助けてくれたから？ 好意を向けてくれるから？ だから殺したくないの？」
そうだ。彼は、イルミは私を受け入れてくれた。殺したくないと言ってくれた。優しい人だ。
「殺そうとしてきたのに？ どうしたって私は獣なのに。人間にはなれないのに」
俯けていた顔が上がる。見たくないのに、目の前の光景を見せられる。
「だって私は」
ヒソカが倒れてる。イルミが倒れてる。クロロが倒れてる。ゴンが、キルアが、クラピカが、レオリオが、マチが、フェイタンが、シャルナークが、フィンクスがウボォーギンがノブナガがパクノダがサトツがハンゾーがポックルがランチがブハラがリッポーがネテロがジンが倒れてる。
嗚呼。
「獣なんだよ」
──美味しそう。
＊＊＊
意識が起きる。ゆるりと瞼を開けば、少し目を上げたところに薄く柔らかそうな首筋が見えた。
──美味しそう。
「存外に起きるのが遅かったな」
上から向けられた言葉にパチリと瞬き一つして、一瞬の空白が意識に生まれた。
見上げればクロロの黒い瞳が私を見下ろしていて、周囲に視線を動かせば旅団の幾人かは眠っていた。なんだか、ネテロがたまに纏ってたお酒の香りもする。
「ごめんなさい。深く眠っていたのかしら……」
「起こそうとはしなかったからわからないな。良い夢は見れたか？」
夢。見たような、見ていないような。起きた直後の記憶も曖昧だし、きっと熟睡しきっていた……のだろう。
それを告げるとクロロはそうか、と呟いて、続く言葉を声に乗せた。
「起き抜けで悪いが、質問したいことが幾つかあってな。話せるか？」
「十中八九私の能力について、よね。……話せることなら」
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ユウ - 一気読みさせてもらいました。応援してます。ヒソカ落ち希望です！ (9月18日 1時) (
レス) id: 9180eb740d (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 更新待ってます！！続きがとても気になります！！イルミ落ちがいいです！ (2022年6月6日 0時) (レス) @page32 id: b76b8db090 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 作品読ませていただきました！！とても面白くてこのシリーズ大好きです！もし、この作品がまだ更新されるのであれば、気長に待ってます！頑張ってください！！ (2021年1月30日 18時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 初めて作品を読ませていただきました！私はこのシリーズがとても大好きになりました！もし、作者様がこの作品を覚えているのであれば更新されるのを楽しみに待っています！ (2021年1月1日 21時) (レス) id: 5e84d40654 (このIDを非表示/違反報告)
maki(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新待ってます！ (2020年3月24日 18時) (レス) id: 94544c805e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年9月4日 4時
