秘密の存在４【H×H】 (ページ32)

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１５２、仲間想いの彼らのためにページ32

重い空気が辺りにのしかかる。フェイタンがウボォーギンの拘束から逃れようともがいて唸り、ウボォーギンは顔をしかめた。

「ったくよぉ、あれほど突っ込むなっつったのに、馬鹿が……、っ」

涙を流しながら言い、ノブナガが傷口を押さえて呻いた。それを見たクロロがマチに視線を送る。

「マチ、ノブナガの傷を縫ってやれ」

「その必要はないわ」

マチが返事をするより先に進み出る。縫うよりももっと確実に治す方法が、私にはあるから。

「私の念能力は他人の治癒。縫うよりも確実に傷を塞げるから」

「それが本当だという確証は？」

「世話になっていて恩を仇で返すような真似はしないわ。嘘を言っても得になんてならないし」

仲間が害されたからか、クロロが警戒するような目付きで探るような視線を向けてくる。それに対して私の見解を述べれば、彼は警戒を解かずにただ黙りこんだ。その側をすり抜けてノブナガに近寄る。

「傷の近くを触らせてほしいの」

「……これでも結構痛えんだ、強く触んじゃねえぞ」

「ええ」

そっと傷口の近くを押さえていた手が退けられる。服の上から近くの部位に触れれば、詰めたような息がノブナガの口から漏れた。
念能力を発動し、オーラを送り込む。オーラは彼の傷口へと吸い込まれていき、ゆっくりと全体に馴染むように広がった。腹部以外には傷はないから、そこまで時間もかからないだろう。

治癒が完了した感覚が指先から伝わり手を離す。ノブナガはすぐに傷のあったところを手で触り確認し始めた。

「治ってる……ありがとな、ソフィア」

「いいえ、ご飯のお礼だと思って」

弱々しく笑うノブナガに、私は首を振る。

こうやって彼らを助けることはクラピカへの裏切りになってしまうのかもしれない。
けれど。たった数日共にしただけだけれど、彼らが如何に仲間想いなのかは知ったつもりだ。意外と面倒見が良いところも。

だから。

「クロロ、フェイタンはどうするの？」

「死後強まる念は除念が極めて難しい。探し出すまでずっとこのままというわけにもいかない」

「……殺すのね」

「死ぬまで俺たちを殺すために動く可能性もある。フェイタンも敵に操られることを望んでいないだろうからな」

クロロは視線をフェイタンに固定したまま淡々と言った。非情にも聞こえるその言葉の奥底には彼の意思を想っての心情、やり場もなく隠しきれない怒りが浮かんでいて。

だから私は、彼らを見捨てることができなくなってしまうのだ。