123、蜘蛛の巣へと導かれ ページ3
「……くも」
「俺たちは幻影旅団。仲間内では蜘蛛と呼んでいる」
クラピカから聞いたことのある、A級犯罪者集団の名。存在を知ってから出会うつもりすらなかったというのに、まさか存在を知る前に既に出会っていたなんて思いもよらないだろう。
「帰った」
私を抱えたままのクロロが廃墟の中に足を進め、声をかければ暗闇の中から幾人かの気配が浮かび上がる。
「おお、戻ったか団長! ……そいつぁ誰だ?」
とても大きな男性が進み出て、私に目を止める。首を傾げながらもくまなく私の様子を観察していて、どれだけの腕前があるのかどうかを見極めているようだった。
「ウボォーは画像を見ていないんだったか。俺の獲物だ、俺達の側に置く」
「ってぇと、そいつがソフィアって女か。ちっせぇなぁ」
広い部屋の中心で地面に下ろされ、足をつける。クロロは私を下ろすと瓦礫の上を軽々と跳んで、部屋全体を見下ろせる高い位置で腰を下ろした。
「団長、念能力目当てじゃないの?」
「……もう発を思い付いていたのか。纏を見たときから思ってはいたが、本当にあの短期間で習得するとは」
シャルナークの問いかけに、驚いたようにクロロが目を丸くする。すると今度はシャルナークが目を丸くした。
「……念目的じゃないなら、なんで狙ってたの?」
「面白そうだからだが?」
「団長……」
気の抜けた空気が辺りに立ち込める。えーと、どうやら私は狙われていたらしい。
というのもクロロが獲物と定めたよう……なのだけど。
(面白そうだから拐ったわけね……)
どうして連れ去られたのか、全く以て謎だったけれどこれで判明した。
いや、理由にはあまり納得していないけれど。
「さて、ソフィア」
声をかけられて顔を上げれば、薄く笑んだクロロの瞳と視線が合った。
「お前、蜘蛛に入らないか?」
「え」
「な、」
「は」
呆気に取られた声が背後やらそこかしこから聞こえた。ちなみに私は驚いて眉を上げはしたけれど声は出していない。
「弱そうな女じゃねーか、入れる必要も理由もねーだろ」
「弱そうかどうかはまだしも、フィンクスの言う通りだよ。そもそも空き番ないし」
「ふむ、そういえばそうか」
フィンクスという男や、シャルナークの反対にクロロが顎に手をやり考える素振りを見せた。
私も入ることに気乗りはしない。クラピカのこともあるし。
「ならば、蜘蛛の……いや、俺の客ということにするか」
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作者名:クロ | 作成日時:2019年6月1日 15時