秘密の存在４【H×H】 (ページ17)

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１３７、楽しい人たちページ17

「お前軽いなぁ、ちゃんと飯食ってんのかあ？」

「食べて……」

食べてる。そう言おうとして、ふと口を止める。
試しの門からあの街まではずっと走り通しだったし、街についてからは所持金がないから食事なんてとってない。腕に針が刺さっていたこともある。
シャルナークと会ってからはドレスに着替えてそのままパーティー会場に直行だったし、パーティーでは少し食べたけれどそれだけだ。今朝は起きてすぐにサイズを測ってもらってクロロに団員を紹介されたし、その後すぐにフェイタンとの手合わせに向かったから。

「食べてねえって顔してるぞ」

ウボォーギンの隣を歩いていたノブナガが私の顔を覗き上げてニヤリと笑った。言葉を聞くや否や、肩を軽く揺らしてウボォーギンが笑う。

「やっぱ食ってないんじゃねえか。食わねえとへばるぞ？」

「しゃーねえなぁ、後で俺たちが食いモン調達してきてやるか」

確かにここ数日はあまり食べていないけれど。それはそれとしてやはり、

「私が軽いのではなくて貴方が力持ちなせいだと思うのだけど」

「俺ぁ腕力だけなら誰にも負けねえ自信があるからな」

私一人を肩に乗せていても軽々と歩いているのだからそうなのだろう。体格も人一倍大きいし、身長なんて私の頭が彼の腰より少し上に来るくらいだ。

「じゃあウボォーの次につええのは俺だな」

「どうだろうな。確かめてねぇし……そうだ、そんなら旅団全員で競いあってみるかぁ？」

「楽しそうね、私も賛成よ」

何で競うか話し合う皆に、思わず笑みが溢れてしまう。楽しい人たちだ、それにとても仲が良い。見ていて胸が暖かくなる。

「じゃあ、腕相撲で決まりだ。団長もそれでいい？」

「ああ」

「うっしやろうぜ！お前も参加してみろよ」

首を捻って此方を見上げるウボォーギンに首を傾げてみせれば、折角だから今居ない団員ともその時に顔合わせをしておけばいいと言われる。

「いつやるんだ？」

「とりあえず暇なやつ呼ぶから次の仕事の後でも良い？明後日のやつ」

明後日に仕事。彼らの仕事というと、やっぱり盗みなのだろう。

「なんかあんのか？」

「やーちょっと強いやつがいるみたいなんだよね」

「お、そりゃいいな。っと、降ろすぜ」

神妙な顔つきで言うシャルナークに嬉しそうに言うと、ひょいと私を肩から降ろした。
見ればもう拠点の前らしい。乗せてくれた礼を伝えれば、彼はからりとした笑みを浮かべて私の頭をわっしゃわっしゃと撫でた。