95、広い部屋 ページ15
初めてイルミ達に会ったときのホテルの寝室よりもかなり広い部屋は、ソファーにローテーブル、ウォークインクローゼットに繋がる扉とバスルームに繋がる扉、それからもう一つの扉と大きめの天盖付きベッドがあった。
人間の生活はあまり知らないけど、間違いなく普通とかけ離れた部屋だということはわかる。あんな大きいベッド、物語の中でしか見たことないもの。
「あそこの扉はオレの部屋に繋がってる。何かあったら来てよ」
「急に来てしまったのに、随分と家具が揃っているのね。客室じゃないんでしょう? ここ」
これだけ豪奢な部屋を客に用意するとは思えないし、客の部屋と家主の家族の部屋が直接行き来できる造りなのもおかしい。
「それはねソフィアさん。イルミのお嫁さんがいつ来ても良いように、予め用意してあったお部屋なのよ」
「私はまだ嫁にも嫁候補にもなる気はないのだけど……」
成る程、将来結婚する相手のための部屋らしい。そして嫁候補というのもやっと訂正できた。キキョウの笑顔が一瞬で消える。
少し申し訳ない気もしたけれど、なる気がないのにいつまでも誤解を与えたままなのはよくない。
何より私の正体を知ったら、きっとこの家は受け入れないでしょう。
「イルミが貴女を嫁候補として連れてきた以上、貴女は嫁候補です。私もソフィアさんに嫁に来てもらえたら嬉しいわ、よく考えておいてちょうだいね」
「……ええ、わかったわ」
「私はこれで失礼します。イルミは私についておいで。カルトちゃん、イルミが戻るまでソフィアさんのお相手を宜しくね」
「はい、お母様」
カルトが返事をすると、いそいそとキキョウは部屋を去っていく。その後を追うようにしてイルミが半歩出たところで振り返った。
「またあとでね」
それだけ言うと、彼も扉の向こうへと消えていく。……しまった、どうしたらいいのかわからない。
視線を感じる方を横目で見れば、口元に棒?を当ててじーっと此方を見るカルトと目が合った。
「……イル兄さんが自ら嫁候補にするなんて。貴方、何者?」
「何者かしらね。ハンターの資格は持っているけれど」
少なくとも一般人ではない。何か職業に就いているわけでもない。資格は持ってるけど、なりたくてなったわけでもなければどういうハンターになるかも決まってない。
「ふーん……、強そうには見えないけど」
「イルミにも細い腕って言われたわ」
皮肉が込められた言葉を苦笑で流せば、カルトは目を瞬いた。
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クロ(プロフ) - ユウさん» ユウさん、閲覧ありがとうございます!わあああ面白いの言葉を頂けるとは!めっちゃ嬉しいです! オチはまだアンケート中ですので是非楽しみに待っててください! (2019年6月1日 7時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - ヒソカ、イルミ、フェイタンが好きで、ヒソカオチを捜してたどり着きました!面白いです続きを楽しみにしてます。 (2019年6月1日 2時) (レス) id: 0277b1537e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月18日 18時