秘密の存在２【H×H】 (ページ6)

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４５、覚悟はまだページ6

【クラピカ side】

三次試験が始まり、私達受験者はタワーの上に取り残された。
ロッククライマーの男が怪鳥の餌食になったのを見て、下へと降りる手がかりは別にあると判断して探し始めたのだが、正直集中が出来ないでいる。

理由は、ソフィアだ。今朝彼女と話したことが、頭のなかでぐるぐると回っていた。

生半可な覚悟ではいけない。確かに彼女の言う通りだ。
中途半端なままで挑んでは、幻影旅団は倒せない。しかし、復讐のために仲間をも犠牲にする覚悟は決めたくなかった。
本末転倒なのだ。一族の仇を討つために仲間が犠牲になっては。そうなってしまったら、私は私を許せなくなってしまう。そうなるようにしてしまうのは、紛れもなく私なのだ。

仲間の力不足だって、そもそも私に関わらなければ死なずに済むことになるのだから。

ふと、恐ろしい考えが思考の中に去来した。

もしも、幻影旅団が復讐のためにクルタを襲ったのだとしたら。
外に出た一族の誰かが幻影旅団や、その大切な人に危害を加えたのだとしたら。

本当に、どうしようもなく恐ろしい考え。だが、ソフィアと話した後では一蹴するに躊躇われる考えだ。
そんなことがあったのなら、私の復讐は意味を為さなくなる。元々一族が蒔いた種、自業自得なのだとしたら。

そうでなくても、私にとっては意味があろうが、やつらにとっては降りかかる火の粉でしかない。
降りかかる火の粉は払うまで。それは此方も、彼方も同じだ。

怖い。自分の全てが無意味だったという可能性があることに。

無意味、などではない。幻影旅団はA級賞金首で、奴等を仕留める大義はある。
大義がある以上は、私が奴等を追うことが出来る。

けれどもし、彼女が幻影旅団と接触して気に入ってしまったら。
有り得ないと言いたいが、ないとは言い切れない。ソフィアは人を惹き付ける魅力がある。
外見の美しさのみならず、内面の純粋ささえ見える性格。どこかゴンに似ている。

だからこそ彼女が幻影旅団というものを直に見て、気に入ってしまったら、その時。

私は、彼女と対峙することになるのだ。
仲間を、友を犠牲にしてまで、彼女を犠牲にしてまで幻影旅団を倒す。

そこまでの覚悟は、まだ決められないでいる。

「願わくば、そうならないことを」