76、意思の否定すなわち ページ37
そもそも、私だって友達というものをわかってるかどうかわからないけれど。
友達であると思えた瞬間から友達同士だと、思っていたのだ。それを知れる環境に、いたから。
「無理だね。ソフィアは別として、お前に友達なんて出来っこないよ」
一瞬、キルアの瞳がこっちに動いた。でもそれは私の姿を視界の端に入れるだけの動作に過ぎず、視線を合わせたわけではなかった。
「別……? ソフィアが別って、どういうことだよ……?」
「彼女はオレの嫁候補だから。家族間なら問題ないだろ? でも、ゴンは駄目だ」
「は……」
キルア以外のこの場にいる知らない者が一斉に視線を向けてくるものだから、思わず私の纏も揺らぎかけた。見えずとも何かを感じたのか、皆が視線を試合に戻す。
ヒソカだけが忠告するように、鋭い瞳を向けてきていた。
(わかっているわ、薄い纏か絶を維持し続ける。戦闘の時も、練は最終手段)
「お前は人というものを、殺せるか殺せないかでしか判断出来ない。そう教え込まれたからね。今のお前にはゴンが眩しすぎて測りきれないでいるだけだ。友達になりたいわけじゃない」
「違う……」
小さな声で呟かれた否定は、小さすぎてすぐにかき消えてしまう。
「彼のそばにいれば、いつかお前は彼を殺したくなるよ。殺せるか、殺せないか、試したくなる。何故なら、お前は根っからの人殺しだから」
レオリオが前に進み出て、審査委員の人に止められている後ろで。私は、鉛を飲み込んだような重苦しさを感じていた。
(キルアが根っからの人殺しなら、私は根っからの獣でしょう)
大事なのは生まれじゃない。在り方だ。今抱いている意思。その考えは変わらない。
だからこそ、獣から人間になろうとした自分の全てを否定されているようで頭が真っ白になっていく。
「ソフィアとゴンと友達になりたいだと!? 寝ぼけんな! とっくにお前らダチ同士だろうがよ!!!! 少なくともソフィアとゴンはそう思ってるはずだぜ!」
「そうなの?」
「あったりめーだ馬鹿!!!」
「そうか、まいったな。あっちはもう友達のつもりなのか……」
レオリオの怒号にイルミが考え込むようにして呟いた。あっちというのは、ゴンのことだろう。
家族間なら問題ないという言葉からして、私は除外されたようだし。というか私も保留にしたでしょう。
どこか空回りする思考で思った時、衝撃的な言葉が更に耳に飛び込んできた。
「よし、ゴンを殺そう」
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勿忘草 - 普通にハンゾーが可哀想www (2020年6月20日 15時) (レス) id: a494dee2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2019年5月4日 21時