８、ヒトの優しさ ページ9
ヒソカに案内されて入った寝室は、少なくともソフィアが見たことないくらいに大きいベッドが置いてあった。
といっても、ソフィアはあまりベッドを使うことがなかった。というか、人間について知れたことはあっても実際体感したことは少ない。知識の大半は本によるものだ。
だから、思わず声に出てしまっても仕方ないのである。
「大きいベッド……」
「これがかい？◇」
はっと我に返る。隣を見れば、ピエロメイクの男は一見安心できる笑みを返してきた。それが少し胡散臭く見える気がするのは、何故だろうか。
「えっと、案内までしてくれてありがとう。あの人たちとまだ話すのでしょう？ 私は大丈夫だから、もう行っても問題ないわ」
「いや、キミが眠るまでそばにいるよ◆不安なんだろ？◆」
内心の警戒を見透かしたかのような言い方に、表情には出さないが疑問符が浮かぶ。
この警戒は、決して眠っている間に危害を加えられる可能性への警戒などではない。むしろソフィアは直接的な危害に対してはあまり気にしなくてもいいのだから。
どちらかというと、眠っている間は人身売買とかの方が警戒すべきである。とはいえ最終的に力を使えば抜け出せるけれど。
……なら、何に対して警戒してるのだろう。
わからない。
「不安、なのかな」
「ボクから見たらそう見えるね♪ほら、入りな◇」
ベッドと布団の中に足を滑らせれば、心地よい滑らかな感触が肌を包んだ。
思わず溜め息をつけば、するりと頭に手を乗せられる。ゆっくりとした、優しい手の動きが心地よくて目を閉じる。
もしかすると、これが慈しむ、というやつなのだろうか。ヒトが持つ、優しい感情の一つ。
わからない。今までこうしてくれる人はいなかった。畏怖されるか、欲望に身を任せるか、遠巻きに見てるかしかされなかった。
初めはそれも面白かったけど、今では退屈だ。
だから今日は新鮮だった。目が覚めたら男に囲まれているというのはあったけれど、誰も私に欲を抱いた素振りを見せない。それがすごく新鮮だった。
「おやすみ、ソフィア◇」
おやすみは寝る前の挨拶だと読んだことがある。なら、言わなければ、と、ぼんやりした頭で思う。
「おや、すみ……ヒソカ」
頭の上を動いていた手が少し止まる。どうしたんだろうと思うけれど、もう眠たくて起きることができない。
次に起きたとき、この大きな手が血に濡れていませんように。そう願いながら、ソフィアは眠りに落ちた。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
