３３、その男、ネテロ ページ36
「要するにアンタらは、自ら工夫して未知なるものに挑戦する気概がないのよ！ ちゃぁんと料理すれば美味しいものが沢山できるのに、丸焼き、丸焼き！」
「黙れ！ 俺が目指してるのはコックでもグルメでもねえ、賞金首ハンターだ！
美食ハンターごときに合否を決められたくねぇな！」
あ。今のちょっとムカついたかも。
私の意図を惜しいと言ってくれた人だから、あまり貶められたくない。というか、試験官はハンターでこっちはハンターですらないのに何故あの男は偉そうにしてられるの？
そう思いながら眺めていると、男がとうとう攻撃に走り出す。同時に、私も地面を蹴って高く跳躍する。
「ぐぇ！」
メンチに攻撃が届く前に上から間に割り込んで、回し蹴りを男の側頭部に叩き込む。
男は吹っ飛んで階段を転げ落ち、私はその場に着地した。
「……45番、余計な真似しないでよ」
「私がしなくても、もう一人の試験官がしたと思うわ」
「アンタは豚を森に帰しなさいよ。暴れたらどうすんの？ ……ま、アンタなら仕留められるだろうけど」
はぁ、とメンチが溜め息を吐いて立ち上がる。あ、豚のことを忘れてた。
慌てて戻ると、豚はどうしたらいいかわからないという風に立ちすくんでいる。ちゃんと待ってて良い子。
「お前、帰っていいって。良かったわね」
「プギ」
「お行きなさい、ありがとね」
「プギ」
走って門から去っていく豚。とても素直で可愛い子だった。
豚の姿が見えなくなったと同時に、空から老人の声がして──聞き覚えがある、声だ。
人影が空から落ちてくる。土煙をあげて、地面と衝突し現れた姿は。
「ハンター試験の最高責任者、ネテロ会長よ」
「ま、最高責任者と言っても所詮裏方、こんなトラブルが起きたときの処理係みたいなもんじゃ」
ネテロ。此方に来た私を捕獲しようと試み、それが出来ないとわかると人間についてを教えるだけ教えた人間。
今でも私を警戒している、私の正体を知る人。その証拠に、此方に目を向けて驚いたかと思えば私に圧力をかけてくる。
でも、私はそんなの気にしない。”獣性”で理性の枷が緩んでたら多少気に障るけれど、まだ少ししか緩めてないから気にならない。
「ソフィア、次はマフタツ山だって！」
ひょこりとゴンが話しかけてくる。続いてキルアと他の二人も集まり、私は豚が可愛かった話をしながら飛行船に乗り込んだのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
