２６、湿原を往く ページ27
シェルターが閉じ、湿原についての一通りの説明が終わった時。珍入者が現れた。
騙されるな、と声を張り上げる男に、それを冷めた瞳で見つめるサトツ。
私もきっと、それと同じような温度の目で見ているのだろう。
だって、茶番なのだ。どうしようもなく弱くて矮小な獣の戯れ言。精々浅知恵を働かせるしかできない……
“自分よりも小さく弱いように見えるだろ？ でも、だからって馬鹿にしたり、侮ったりすんじゃねぇ。確かに、俺達はお前さんより遥かに小さいが、少なくともお前さんを起こして会話することは出来る”
「……」
私を変えた男の言葉が、頭の中に甦った。
内心で溜め息をつく。確かに自分より遥かに小さな者でも驚異となり得ることは理解したけど、それでもさすがにあの猿は驚異にはならないだろう。
現に、ヒソカが投げたトランプを胸に受けて倒れている。何故か此方にも飛んできたけれど、私はそれを素早くキャッチしした。
ああ、彼はあそこにいたのか。
「ゴン、キルア。私はヒソカと合流するわね」
「まじ？」
「えぇ、呼ばれたみたいだから」
ぴらぴらと投げられたカードを見せれば、少年二人はなんとなく察したようだった。
「また会おうね、ソフィア」
「またね」
少年二人から離れるのと同じタイミングで、試験官サトツが移動再開の号令をかけた。
あっという間に人の波で見えなくなったけれど、双方が居場所を把握したばかりなのでそのまま見失ったりはしない。
「おかえり◇ 何か面白いものは見つけたかい？◆」
「……素直で可愛い子を二人くらい？」
「それはそれは、羨ましいねぇ……。ボクは退屈で仕方ないよ◆」
「だからトランプを投げてきたの？ 首めがけて」
「んー、それもあるかな◆」
「”も”？」
「うん◇」
肯定しつつ、内容は話さない。こういうときはあまり話したくないのだと、短い付き合いで察した。
思えば甲斐甲斐しく世話をしてくれたり、あれこれ気を遣ってくれたりという面ばかり見てる気がする。変態的で快楽主義者というのも短い付き合いでなんとなくわかった。
要するに、トランプは様々な思いで投げられたということだ。
……その思いがどういったものかまでは、さすがに人間歴ごくわずかなソフィアにはわからない。
気がつけば、私とヒソカの周囲を男たちが取り囲み始めてるし。
なんとなくもやっとした気分のまま、私はヒソカに視線を投げた。
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澪 - オチ希望出来ればヒソカでお願いしたいです。 (2021年9月9日 7時) (
レス) id: 790f68b113 (このIDを非表示/違反報告)
クロ(プロフ) - ヒソカの花嫁さん» ヒソカの花嫁様、コメントありがとうございます！ヒソカ希望いただきましたー！何もなければご希望に答えてヒソカオチか、オチごとに小説を分けるか致しますので、評価ボタンを押して楽しみにお待ちください！← (2019年5月6日 21時) (レス) id: dcc16283b8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒソカの花嫁(プロフ) - オチ希望はヒソカでお願いしたいです！ (2019年5月6日 21時) (レス) id: 6af5523d08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロ | 作成日時：2019年4月8日 3時
