専売特許-16 ページ41
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「お待たせしました、どうぞ」
『ありがとうございます…』
家も近いしと一応断ったのだが、自分のせいで遅くなったのだから気にするなと言って頑なに送っていくと聞かないので店の前に付けられた安室さんの車にしぶしぶ乗り込んだ。
「……そういえばAさん、最近変わったこととかありませんでしたか?」
『変わったこと、ですか?………特にないと思いますけど…』
「そうですか…なら気にしないでください」
『はい?』
いやそれ逆にめちゃくちゃ気になるんだけど…
まぁこれは多分聞いても誤魔化される気がするし…気にするなというなら気にしなくていいか。
車の中はゆったりとした空間だった。梓さんと考えてていたデザートの件を少し話しているとあっという間にアパートへと着いてしまう。
『すいません、ありがとうございました』
「いえ、僕でよければいつでもお送りします」
『それは悪い…って、なんで安室さんまで車降りてるんですか』
お礼を言って助手席のドアを開ければ、何故か安室さんも運転席から出ようとしているので頭にハテナを浮かべる。
「玄関までの見送りを」
『見送りって、階段上がってすぐそこですよ…ここからだって見えるじゃないですか』
「いいですから、ほら。早くしないと家にお邪魔しますよ」
『ぐ………』
乗せられるまま2人で自分の部屋の前まで来る。
こうなったら言っても聞かないんだもん安室さんは。
『私だってもう子どもじゃありませんし、今度からはこんなところまで見届けなくて大丈夫ですからね』
「まぁいいじゃないですか」
よくないです、とはっきり言って部屋の鍵を開ける。パチンと玄関の電気をつければ特に変わったところはない。
一人暮らしを始めてからずっと続けているチェックをあれこれと確認していると、不意に名前を呼ばれた。
「Aさん」
『なんです、か…』
振り向けば、優しく笑う安室さんの顔が間近に見えて思わず固まる。
「Aさんのこと好きな気持ちは、誰にも負けませんから」
『………はっ?』
え、
「あ、これから毎日一回気持ちを伝えるのでそのつもりでいてくださいね」
なに
「それではおやすみなさい、よい夜を」
なに………!?
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時