専売特許-4 ページ29
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「はぁ、もうお腹いっぱーい」
『結構長居しちゃいましたね』
あのあとまさかのデザート第二ラウンドを開始した私たちは、陽が傾き始めるまで喫茶店に居た。
多少申し訳ないとは思ったけれど、時間が時間なだけあって混んではいなかったし何もなしにだらだらいたわけではないのでいいだろう。
お腹に手を当てながら歩く梓さんを横目に、先ほど食べていたパフェやらをぼんやりと思い出した。
食べている間、無意識のうちに安室さんの作ったケーキの方が好きかもしれないとか考えたり考えなかったり。
いや、だってポアロの看板メニューだもん。ポアロ店員としては負けるとだなんて思わない。
「今度は新しくできたショッピングモールの方も行ってみたいな!電車で一本だし」
『ふふ、またお付き合いしますね』
「本当!?よーしリサーチしないと!」
もう偵察どうこうじゃなく行ってみたいの気持ちが言葉に現れてしまっているけど、梓さんが楽しそうなのでまぁ良しとする。可愛いし。
「あ、私家こっちだから。また明日ねAちゃん」
『はい、また明日。気をつけて帰ってくださいね』
「ありがとう、Aちゃんもね!」
見慣れない道からいつもの通りに出ると、梓さんとはそこで別れた。
…この道は街灯もお店も多いし人通りもあるからまだ安心だけど、何故か米花町はよく事件が起こるからなぁ。
なんて思いつつ、遠ざかる梓さんから目線を外して歩き出したときだった。
「キャアッ!」
「ひったくり!誰か止めて!」
何やらただ事じゃなさそうなそんな声に振り向けば、案の定すぐ真後ろにはカバンを抱えたフードの男。
「どけ……っ!」
『えっ、うわっ!』
ドン、と男にぶつかられ、急なことに受け身も取れずに前にのめり込む。
えっフラグ回収早すぎ…ってかコケる……!
とにかく顔面から行くことだけは避けなければと咄嗟に腕を前に出す。
『う、………あ、あれ?痛くない…?』
しかしぎゅっと目を瞑ったが来るはずの衝撃も痛みもなく、その代わりにふわりと体が受け止められる感覚。
「っと、……大丈夫ですか?」
『へっ?』
何が起こったのかわからないまま恐る恐る目を開ければ、そこにいたのは知らない眼鏡の男の人だった。
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時