勘違いの始まり-12 ページ23
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『もう陽が傾きはじめちゃいましたねぇ』
「ですねぇ」
あれから、お化け屋敷を出た私たちは午前と同じように色々な乗り物に乗ったり食べ歩いたり、とまぁつまりは遊園地を満喫していた。
平日なこともあって待ち時間もそこまで長くなかったため今まで乗れなかったものに挑戦したり、写真…はいつものごとく安室さんが撮らせてはくれなかったが、その分これでもかというくらい思い出もできた気がする。
『うわ、すごい高いですよ安室さん』
「高いところもやっぱり平気でしたか…」
『残念でしたね。遊園地に私の苦手な場所はありませんでした、ていうことです』
安室さんが見せたいものがある、というのでデートというものの定番というかなんというか、この遊園地の象徴とも言える大観覧車の中で向かい合って座りながらそんな会話をする。
傾いた日はビルに隠れて、ぼんやりとしたオレンジだけがゴンドラにこもっている。
『町が、だんだん小さくなりますね』
「ふ、そうですね」
『今馬鹿にしました?』
「とんでもない。可愛い感想だなと思っただけですよ」
少し遠目に東都タワーを見つけて見つめる。
真下で見るとあんなに大きなものが別のところから見るとこんなにも小さいなんて不思議だ、なんて。
「さて、そろそろですね」
『え?』
ぽそりと呟くと、しー、と口元に指を当てる安室さん。
真昼間に太陽にさらされて見えるのとは違って、少しだけオレンジがかったぼんやりとした光にさらされる顔はなんだか艶めかしい。
安室さんは指先をそのまま口元にトン、トン、と当てながらすっと目を閉じた。
私は訳がわからないまま、安室さんを見つめる。
「_5…4…3…2…1
……__ゼロ」
『え______う、わぁ…すごい』
カウントゼロと同時に目を開けふっと笑う安室さんの横顔に強いオレンジの光が差し込んで思わず顔を向ければ、ビルの向こうに先程まで隠れて見えなかった大きな夕陽が顔を出していた。
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山梔子(プロフ) - 真紅さん» 真紅さん初めまして。コメありがとうございます!頑張ります〜(^○^)! (2018年6月20日 0時) (レス) id: 1444a1608d (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年6月19日 16時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山梔子 | 作成日時:2018年5月24日 23時