【銀魂】おはよう、愛しき人よ

番外篇11 ページ44

休日の朝のベッドの上、2人と１匹でのんびりする時間が好きだ

『お前と過ごして、分かったことがある』

銀時を撫でる私を横目に、彼はうつ伏せになる

私も彼に倣い、耳を傾けた


『何か大事なことを伝えたい時、渡すのは薔薇でも甘い菓子でもない。』

もっと別のモノを贈るべきなんだ


『上手く言えねェが…』

捻り声を洩らして苦い顔を見せる

言葉にするのが難しいようだ


でも私は続きが聞きたくて彼を見つめる

その視線に気付いたのか、身体を私の方に向けた


『A…』

名前を呼ばれただけで、全てが伝わるような気がする

そんなの無理だろうけど、私だけ分かるのだ


『俺はお前に捨てられても、裏切られても

全部赦しちまうんだろうなァ』


『そんなことしませんよ？』

知ってる、と私の髪を優しく梳いた


『それくらい、後悔しないってことだ』

『私も後悔しません』


そうだよね、と彼にも同意を求める

彼は分かっているのか、長く鳴いた


『ヘェ、お前もか』

頭を撫で回して抱き上げる

しかし気に食わなかったのか、晋助さんの顔を引っ掻こうとした


『やめろ。カリカリ捨てるぞ』

嘘なのに本気の顔をするから

銀時は騙され、力なく手足をぶらつかせる


『Aに会うまで、知らないことが沢山あった』

愛の伝え方、囁き方、抱きしめる方法も何一つ


『私も教えてもらったのに？』

『教えたより、見つけたの方が合ってるかもな』

そうですねと相槌を返し、彼の胸にすり寄る


『浮気しても秘密にしてくださいね』

『しねーよ、絶対』

『もしも、です

内緒にして、晋助さんのことを嫌いにならせないでください』

分かったよ、と折れてくれた彼は

私の頭を数回軽く叩いた


『私が浮気したらどうしますか？』

『お前はしないだろ？』

『だから、もしもですよ』


もう一度、どうするのか彼を見上げる

視線が合わさって、私は思わず包帯に手を触れた

そこから頬へ滑るように撫でる


『……殺す』

『え。』

冗談にしては、目つきが鋭い


『私をですか？』

『それもいいな

お前を殺して、俺も死ぬ』


そしたら、二人っきりだろう？


呆然としている私に、彼はククッと笑いかける

嘘、と言うように私の後頭部を引き寄せた


『まァ最初に言った通り、それでもお前を愛すよ』


彼の愛は、ドロドロに溶けたチョコレートのようだ

それはウィスキーボンボンのように、私を酔わせてしまうだろう

でも、彼のお酒になら酔って狂っても構わない

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