赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

楽しみがまた一つ ページ33

『対して上手くもないでしょう？機械分析したらバレる程度しか人真似なんて出来ないの』

「ううん…とっさに人を誤魔化すくらい出来そうなレベルだったと思うけど」

『お世辞ありがと。御察しの通り、私は変装する(そういう)要員…普段は専ら存在しない誰かの顔を被って周囲を探る役よ。改めて…藍川新菜です、新菜でいいわ。よろしくねLittle Holmes？』


今度こそきちんと向き合えた。しゃがんで目線を合わせて手を差し出すと、躊躇う事なく握り返される。

「ボクの聞きたかった答えとは、ちょーっと違ったかなあ？」

『君ならいつか気付くでしょう？そんなに簡単に解かれちゃ、シャーロキアンとしては味気ないじゃない。哀ちゃんによろしくね』

手渡した封筒に、少年は首を傾げる。

「これは…灰原に渡せばいいって事？」

『そう、待たせてごめんね…こっちが本物よって伝えてくれる？多分言えば伝わるはず』

今更であるが、ジョディ経由で以前哀ちゃんに渡した手紙は本物ではない。あれは私が彼女へ宛てた明美についての軽い現在報告だ。私はこれで割と用心深いのだ…確実に手に渡ると確信出来なければ、本物なんて渡せない。その点、この子なら…小さな探偵さんならきっと大丈夫だと確信した。

「…アンタまさか、灰原の姉さんの！」

『これからは堂々と協力出来る事だし、全部分かって確信が持てた時には、答え合わせしましょ？待ってるわよ…A brave little Holmes(勇敢で小さなホームズさん)』

ヒントをあげすぎたかな…と思いつつも、これできっとlittleは私を警戒する事はないだろう。いくらかスッキリとした気分で、私はその場を離れた。

「いくらかふっきれた…といった顔だな」

『ええ。ようやくあの子に渡せたのよ…手紙が』

「…ああ、彼女のか」

『ついでに少年にもすこーしヒント出してきたからね。これからが楽しみになってきたわあ…。あの子絶対あなたと気があうわよ？』

「そうか…？」

訝しげに首を傾げる秀一に、私は笑った。

『ええ…いつか絶対、肩を並べて動いてる。保証するわ』

だって、私と向き合う時の目が同じなんだもの。不器用だけど正義感の強い…吸い込まれそうなくらいに真っ直ぐな眼差し。

「お前がそう言うなら…そんな日が来るのかもな」

私のホームズは秀一だけ、でもあの子も間違いなく彼に匹敵するホームズの原石…だから親しみを込めて私はlittleと呼ぶのだ。

帰りの足取りは心なしか軽い。いつかの未来に、思いを馳せた。

【番外編】いい夫婦の日(コナン視点)→←答え合わせはもう少しだけ先

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