あなたは私を駄目にする ページ27
部屋に戻ると、遠慮なくソファに寝転がる。言葉数が減った私を見て何か察したのか、秀一は傍に座って労わるように優しく頭を撫でてくれた。
「だいぶお疲れみたいだな?」
『んー…もう何もしたくない』
「シャワーは」
『…めんどくさい』
頑なな私を見て、彼はくすくすと笑っていた。仕方ないな、という言葉を聞いた記憶が薄っすらあるが…それから先は覚えていない。気が付いたら湯船に浸かっていた。
「おや…お目覚めか?」
『…あれ、私どうやってここまで来た?っていうか湯船?珍しくない?』
起き抜けで脳内がパニックになっている私を尻目に、彼の笑い声がバスルームに響く。
「何とか自力で服も脱いでいたし、頭は俺が洗ってやったが体は自分でやっていたぞ。疲れてるだろうから、と久しぶりに湯を溜めたら秒で寝た」
『…なんかごめん…全く記憶にない』
頑張ってはいたらしいが、色々とやらかしていたのは事実である。私が溺れないよう、彼は背後から抱きしめる形で私を支えてくれていたのだった。アメリカでは湯船に浸かる習慣がないので、普段はお湯まで溜めないというのに…出来た彼氏様である。
「いや、俺が好きでしているから構わない。あまり照れなくなったのは残念だが、お前と入るのは好きだしな…」
全く照れてないわけではないんだけど…それを言うのは野暮ってものだろうか。感情を隠しきれない私は、お湯に顔をつけてブクブクと音を立てて誤魔化した。…多分彼にはバレているだろうけど。
『…起こしてくれても良かったのに』
「いや何、あんまりにも気持ちよさそうに寝ていたのでな…起こすのが忍びなくて」
『笑ってるでしょう、楽しんでる。…見えなくても分かるよ』
「フフ…お前こそ、実は照れているな」
互いに無言の間が少し続き…背後の彼に少しもたれて頭を寄せ、二人で笑った。
『…上がろうか』
「そうだな、またお前が寝てしまう前に」
…まあ結局のところ、ドライヤーをしてもらっているうちにまた寝ました。だからその分、寝起きはばっちりだったんだけど。
『…またやらかした』
彼は寝落ちた私をベッドまで運び、しっかりと抱きしめていてくれたようで。助けられてばかりだな…なんて頭を抱えるが、まだ起きるには早い。未だ夢の中の彼の胸元に頭を押し付けて、私も二度寝の体制に入った。
『(駄目になりそう…)』
彼のフォローが当たり前になりすぎて、腑抜けになってしまいそうだ。これを幸せと取るか堕落と取るか…私にはまだ難しい。
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リュウヤ(プロフ) - 優花さん» メッセージありがとうございます。私はまだ映画を見られていませんが、赤井さんが1番の推しです。なかなか話を書く余裕がないため一旦停止としてますが、見つけてくださってありがとうございます。励みになります! (2021年7月6日 0時) (レス) id: 8b594e4d48 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 緋色の弾丸を見て、ココに来ました。 赤井さんはカッコいいですよね! 詳しくはないですが、コナンの中で、一番の押しです。 更新停止なのは仕方がないですが、復帰を願っています!頑張ってください! (2021年7月4日 20時) (レス) id: ef3d2855ab (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 真由さん» メッセージありがとうございます。理想だけ詰め込んだ赤井さんです…!映画もうすぐですね、ぼちぼち構想練ろうかな〜と思いつつあります。観に行ったら正気でいられる自信がないですね…w (2021年4月14日 17時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 丸々1日かけて一気読みしました!めちゃめちゃめちゃ好きです!!!毎シリーズ(?)赤井さんのスパダリ具合にぎゃあぎゃあ叫びました笑次の更新までにもう一周してこようと思います。(((\(≧∀≦`)/))) (2021年4月13日 20時) (レス) id: 553236276e (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 星の桜さん» メッセージありがとうございます。随分前の作品を見てくださってありがとうございました。そちらもコロナにはお気を付けて。気長にお待ちください! (2020年4月27日 8時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年7月27日 23時