赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

我らがダディの来日 ページ17

『あ、無事に買えました？はい…ショー楽しんできて下さい、終わった頃に私と彼で迎えに行きますので』

「ぼちぼち行くか…」

『…あ、秀一が髪切ったって伝えるの忘れた。まあいっか、会えば気付くでしょ』

組織の追跡調査が進む中、ついに我らがボスを日本に呼び出す日が来た。これで私も現場に入れるかもしれない…。

出ても良かったんだけど、秀一を現場に出すとなると彼についていける指揮官はなかなかいないのだ。逆も然りだが、秀一は指揮官になるには言葉が足りない。必然的に私が後方指揮を執るしかなかった。

「ジェイムズの事だ、大丈夫だろう」

『人に尋ねる時にロングヘアーの男って言う可能性大だけどね…賭けてもいいよ』

「対価はあるのか？」

『えー、考えてなかった…ランチの奢りとか』

「賭けなくても、それくらいは俺が出すぞ？」

聞くなり、秀一は複雑そうな表情を見せた。そう、彼はそういう人だってとっくに知ってた。これを素で言っているのだから照れる…男前。

『…うん、言っただけ。じゃあ今度の捜査の指揮権？』

「今はジェイムズがいるから、意味ないだろう」

『うーん…ネタが詰んだな』

「ああ…今となっては賭ける物がなかなかないな」

候補生時代(あの頃)は、互いをよく知らなくて。相手を知るために賭けて勝ち取る対象はたくさんあったはずなのに。今となっては、純粋な勝負になりがちだ。私たちも歳をとってしまったのね…まだ若いつもりだけど。

『あ、じゃあ久しぶりに…互いの母親の思い出話で賭けようか！』

「…それだと、俺だけが損をしてないか」

『私だって、もういない過去の話なんだからお互い様じゃない？じゃあ、けってーい』

「受けるとも言ってないんだが…まあいい」

そうは言っても何だかんだ付き合ってくれるとこ、割と好きだよ。…言ってはやらないけど、ね？やるからには勝ちたいけど、負けても構わないのだ。たまに思い出しておかないと、私まで忘れてしまったら…本当に母は死んでしまうから。

『優しいんだから、もう…』

何を感じたかは知らないが、そっと頭に置かれた彼の手は優しかった。

ーーーー

『…緊急事態発生』

ジェイムズさんが楽しみにしていたという、ポール&アニーのアニマルショーが無事に終わり…後は合流するだけだったのだが。不測の事態、ジェイムズさんが連れ去られた。恐らくショーのスポンサーと間違われたのだろう。

「GPSは？」

『待って今出す…パソコン持ってきてて正解だったわ』

合流→←※意地が悪いのはお互い様

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