TH ページ20
「てっ、テヒョンくん？」
TH「………、っ」
「痛い、痛いよ、もうやめてっ」
TH「………え、？」
「………っ、サイテー」
バタンって勢いよく閉まった
ホテルのドア。
えーっと、？
俺、あの子に何した？
てか、誰と寝てた？
さっきまでいた子の、
さっきまでしてた子の、
顔も名前も、もう思い出せないなんて、
俺、けっこーやばい。
“テヒョンア、僕、
付き合うことになった、
Aと。
ただの客と、
ただのホストのつもりだったんだけど、
………わかんないもんだね”
ってジミナが困ったように、
でも幸せそうに笑う姿が、
いつまでも俺の頭の中に残ってる。
A。
なんて嫌な女なんだろう。
………やめよ。
愛の反対は無関心だって、
誰かが言ってた。
こんなに恨むのは
Aにまだ、
愛がある証拠になってしまう。
たかが、
俺の親友と俺の元カノが
付き合っただけだ。
それだけだ。
それだけなのに、
なんでこんなに
イライラするんだろう。
一人になったホテルのベットの上、
大の字になって寝ると、
さっきまでいた女の子の香水の香りが
嫌なくらい残ってる。
なんでこんなキツいの、
吐くっつーの、
TH「はい、もしもし？」
「………あー、テヒョナ？
久しぶり、お母さんだけど」
TH「…………」
「あんた、全然電話出てくれないわね。
ようやく繋がって良かったわ」
TH「……で、なに」
「…………………おばぁちゃん、今朝亡くなったわ」
最近になって
嫌なことばっかり起こるのはなんでだ。
TH「は？亡くなったって、、、
そんな急に」
「だから、都合がつくなら、大邱に帰ってきなさい」
名前も知らない、
顔も忘れた女の子と
ホテルで寝た朝、
俺のばぁちゃんが死んだ。
俺って何でこんなに、
こんななんだ。
ホテルの最上階の窓から差す朝日が、
嫌なくらい俺の顔を照らした。
.
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作者名：やきにくさん
| 作成日時：2021年2月11日 15時
