D.gray-manー2人で歩く道 (ページ49)

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バレンタインデー⑨ ページ49

ーーアレンside

『…っ』

何故か真っ赤な顔をしているAの頬に手を添え、またじっと見つめてみる。

彼女が嘘をつくのが苦手なのは知っているし、こうして見つめると表情が崩れていくのも何回も見てきた。

(…きっと、酔っ払った勢いで色々手出しちゃったんだろうな…)

赤面している様子から、自分が記憶のない間に何をしてしまったのかは大方予想出来た。
…悔しいことに、全然覚えていないのだけど。

それでも事実は変わらない。
何よりも、Aが嫌な思いをしていないかが問題なのだから。はっきりしておきたかった。

ア「言い辛かったら大丈夫ですから。…それで、Aは…嫌な思いとかしていませんか？」

慎重にそう聞くと、彼女は食い気味で答えた。

『いっ…嫌な思いなんてしてないよ！…アレンくんにされて嫌なことなんてないもん』

ア「！」

なかなかの爆弾発言。
僕にされて嫌なことが無いだなんて…躊躇いもなく言い切ってくれたことに嬉しくなる。

ア「そ、そうですか…」

『とにかく…酷いことされたとかじゃないから安心してね。…ただ』

ただ？と聞き返すと、また彼女は赤面して俯いてしまう。

ーー出会った時は鈍感だったAが、いつの間にかこんな表情までするようになっただなんて…真剣に話している時なのに、そんな変化に少し喜んでしまった。

気持ちを戻して、また答えを待つ。

『…アレンくんに近づかれると、今まで以上に心臓がうるさくなっちゃって…顔が熱くなるの』

ア「えっ。…それは、色々思い出すから…ですか？」

『うん…わっ』

気がつくと、彼女を抱きしめていた。

ア「…すみません。酔って手を出した後にこうするのは信用ならないかもしれませんが…

Aには…いつもの僕を見てほしいです。きっと強引に色々としたんでしょうけど…それでも僕は、君を大事にしたいんです」

『…うん、凄く大事にしてもらえてるって感じてるよ。いつも』

ア「…！」

僕の腕に収まっている彼女は優しく微笑んでいた。

『唐突過ぎて驚きはしちゃったけど…いつもの優しくて頼もしいアレンくんが大好きだから！…色々と照れちゃうけどね』

えへへ、と笑う姿がやっぱり可愛い。
あ、そうだ、と彼女は近くに置かれていた大きめの箱を手に取る。

『…色々バタバタしたから、少し遅くなっちゃったけど。

ハッピーバレンタイン、アレンくん！』