D.gray-manー2人で歩く道 (ページ47)

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バレンタインデー⑦ ページ47

(…え…これ……かなりまずい状況なんじゃ…？)

『あ、アレンくん…とにかくまずは寝た方がいいんじゃないかな？』

掴まれて押さえつけられた腕を動かそうにも動かせない。
力の抜けた笑顔のまま、彼はどこうとしないようだ。

ア「大丈夫ですよぉ、それより……Aからのチョコが欲しいです…」

至近距離まで顔を近づけられ、ニマニマと笑っているアレン。
酔っていて、いつもの彼ではないと理解していても、心臓の鼓動が早くなり、顔に熱が集まるのがわかった。
彼の吐息が顔にかかる程近く、まともに思考が回らない。

『……だ、ダメだもん……』

ア「えぇ？」
　

『そんなに酔っ払ってるアレンくんには渡したくないよ…私は…んんっ』

彼に抵抗するも、唇で塞がれてしまった。
アルコールの匂いがきつく、くらくらしてしまう。
いつもよりかなり長めに重ねられた後、ゆっくり唇が離れた。

ア「…どうしても…ダメですかぁ…？」

潤んだ目でこちらに甘えて来ている。
恥ずかしさもあり、彼女は彼に折れそうにもなったが、普段の彼はきっとこんな強引なことはしない。
…そう考えたら、今の状態のまま流されるのはまずいと感じた。

『……っダメ！！もう怒るよっ！！スネイク！！』

ア「あだっ！！」

これ以上好きにさせたらいけないと直感的に感じたAは、すかさずイノセンスを発動させた。

スネイクは鞭のように彼の顔面をバチリと叩き、そのままアレンはベッドの上に倒れ込む。
どうやら気を失ったようだ。

『はぁ、はぁ……心臓に悪すぎだよ、あれは…

とりあえず、アレンくんを休ませないと』

～～

そのまま、アレンは彼女の部屋のベッドで眠らせた。
冷やしたタオルを額に置き、水も多めに用意をしておく。スネイクの攻撃を当てた部分の手当ても終えた。

椅子に腰掛け、穏やかに寝息を立てる彼の寝顔を見つめた。

(…アレンくんの酒癖、あんなに酷いとは……)

もう二度と、何があっても彼にアルコールを与えてはダメなのだと心に誓った。

(…あんなの…ダメだよ…素面のアレンくんと違いすぎて…)

また、彼に押し倒されて迫られている時のことを思い出してしまう。思わず顔が熱くなる。

(…いつも通りに戻ったら、どんな顔して話せばいいんだろ…)

『はぁぁ……早く、アレンくんにチョコ渡したいのになぁ』

彼の頭を優しく撫でながら、ぼそりと呟いた。