D.gray-manー2人で歩く道 (ページ38)

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番外編＊手料理⑥ ページ38

ーーアレンside

『おまたせっ！アレンくん！』

ア｢…えっ、A…！？それに、その料理は…？｣

しばらくテーブルで待っていると、Aが大量の料理を運んで来た。

どうしてAが？ジェリーさんのお手伝いでもしているのだろうか。

彼女は微笑みながら、僕の目の前に料理を並べてくれる。

『ふふっ。いつもお世話になってるアレンくんに、私からサプライズだよ！』

ア｢サプライズ？｣

『うん！実はね、この料理全部私が作ったんだ』

ア｢えっ！？｣

Aの…手料理…。てっきりジェリーさんが作ったものだと言われても納得がいくくらい、見た目に違和感がなかっただけに驚いた。

ア｢す、すごい…｣

『ふふっ、お腹空いてるでしょ？どうぞ食べて食べて！』

ア｢はい…！いただきます！｣

僕が料理を口に運ぶのを、隣に座るAは心配そうに見つめていた。

ア｢…！！美味しいです！！すっごく美味しい！！｣

『ほ、ほんと！？よかった…』

あまりの美味しさに、思わず料理を頬張る。

『そんなに美味しそうに食べてくれるなんて…頑張ってよかった～』

ア｢…そういえば、Aは元々料理はする方だったんですか？｣

すると、遠くからジェリーさんが声をかけてきた。

ジェ｢いいえ、全然よ！

Aちゃんたら、手先も不器用だからす～ぐ料理焦がしちゃったりひっくり返しちゃったりするし、味覚も辛すぎちゃって大変だったのよぉ～！｣

『じぇっジェリーちゃんっ！！それは内緒！！』

ア(そうだったんだ…)

恥ずかしそうに赤面している彼女を見て、可愛いなと思わず呟いてしまった。

『…ジェリーちゃんとこっそり、練習してたんだ』

ア｢あっ、だから絆創膏も…｣

今見ても、Aの指には幾つもの絆創膏が貼られていた。

僕の知らない間に…僕に振る舞う為に、苦手だった料理を練習して、ここまで美味しいものを作ってくれた、だなんて。
よく見ると、作ってくれた料理は僕が好物だと言っていたものばかりだ。

…そう考えると、嬉しさのあまり頬が緩んでしまう。こんなに幸せなことがあっていいのか。

『アレンくん？』

心配そうに覗き込んでくるAに、だらしない顔を見せられまいと片手で口を覆った。

ア｢いやっ、本当…嬉しくて…ありがとう、A｣

『ふふっ、こちらこそ。…また作ってもいい？』

ア｢もちろん！いつでも食べさせて下さい！｣

こうして、彼女の料理計画は無事、成功に終わった。