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臣side
岩ちゃんが仙崎さんを追ってバルコニーへ出ていく姿を見た。
追いたい衝動にかられながら、それはフェアじゃないと堪える。
皆で揃っての食事が始まって…
ワイワイしている中、聞こえてきた…
仙崎さんの『岩ちゃん』って遠慮がちに…照れながら呼ぶ声。
間違いなく、外で2人が近づく何かがあったんだろう。
斜め向かいに座っている隆二も一瞬難しい顔になった。
そんな俺たちの雰囲気には全く気づいていない健ちゃんが
『ずるいな！俺も健ちゃんにしてーや！』
って言い出して、
エリーも『俺も！』って乗っかった。
困ったように笑いながら
「えーと……健ちゃん？」
その顔がたまらなく可愛くて、健ちゃんは胸を押さえて射抜かれたようにふざけて倒れた。
爆笑する皆と
「またそうやっておばさんをからかう…。」
そう言いながら、もう諦めましたみたいな顔になった仙崎さんは
「じゃあ、岩ちゃんからの、健ちゃんからの…エリーちゃん、なおちゃん、臣ちゃんにしようっと！」
いたずらっ子の顔で開き直ってすました。
「「おー！それでもいいよ！」」
エリーと直人さんはすぐさまOK出したけど…
「…臣ちゃんって……健ちゃんに呼ばれてるみたいで嫌だな。」
俺がNGを出すと…
「なんやそれ！失礼やぞ！」
すかさず突っ込んだ健ちゃんを見て笑ってる仙崎さん。
・
・
・
この日から、君は俺のことを「臣くん」って呼んでくれるようになったよね。
俺が君のことを皆みたいに「A」ってすぐに呼ばなかったのはね、君の心に残るような…特別な時まで取っておこう、そう決めていたからだって…
あの時…
そう教えていたら、どんな顔してくれたかな？
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作者名：まる
| 作成日時：2018年6月9日 22時
