Iの証明-アイの証明-【松野千冬】 (ページ3)

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千冬side

今日、バイト何時からだっけ？

あっ、今日あの漫画の最新巻発売日じゃん！

てか、タケミッチどこ行っちまったんだよ...。しゃーない、探しに行くか...。

ドンッ

思わず下を見ると、ぶつかってしまった女子もこちらを見ていた。

すごく優しそうだけど、その瞳がなんとなく虚ろだ。

A「すいませ...」千「大丈夫っすか！？」

A「えっと...はい」

怪我をしてしまったのでは？と焦ったが、大丈夫そうだ。

そう思って、ふと目の前の女子の瞳を覗く。

思わず、その儚げな、どこか苦しそうな表情に惹かれた。

それにしても、さっきからずっと顔を見つめられているが、なにか変なところでもあったのだろうか。

千「俺の顔、なんかついてます？」

そう聞くと、

A「い、いえ、あの、すいませんでした！」

といって、その子は自分の席まで猛ダッシュしてしまった。

廊下を歩きながら、先程の出来事を思い出していた。

なぜだか、目が離せないような、不思議な雰囲気を持っている子だった。

きっと、これっきりの縁なのだろうが、もっとその子のことを見てみたいと思った。