Iの証明-アイの証明-【松野千冬】 (ページ11)

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Aside

帰り道は少し憂鬱だ。

私を愛してくれる家族。

私のことをすごくすごく大切にしてくれる家族。

感謝しなきゃ。

たとえ、殴られようが、蹴られようが、髪の毛を引っ張られようが、

それは「教育のため」「私のため」

だから感謝しなきゃ。

わたしはシアワセなんだ。

そう思うのに、また殴られるのかと思うと足が進まない。

あの家に帰るのかと思うと、目線が下がってしまう。

ああ、こんなに気にかけてもらってるのに憂鬱だと思ってしまう私はきっと出来損ないだ。

？「おい！早くするぞ」

？「何もたもたしてんだよ、くそが」

なんだか騒がしい。何事だろう。

そう思って後ろを振り返った。

ガンッ！

頭に鈍い痛みと信じられないほどの衝撃を感じた。

やばい、意識が...。

そんなことを思うと、目の前が暗転した。