ふたり

41 You ページ41

大我さんに
愛して、側にいて、と抱き締められて
何かが胸につっかえた。



息もできないほど苦しくて…

それは罪悪感なんだと思った。



でも何か…何か違うんだ。

言葉では表せないけど、何か違う。


言い様のない違和感を感じるせいなのか、



大我さんを愛さなければ

そう思うほど頭の中でけたたましく警報が鳴るみたい。


大我さんをあんなに苦しめておいて、
優しい北斗さんに助けを求めそうになる。



私は最低だ。



本当につらいのは

私のために何もかも飲み込んでいる北斗さんと、
私が裏切ってしまった大我さんの方なのに。


私はまた大我さんを裏切って、
北斗さんの優しさに付け入ろうとしている。



なんて狡いんだろう





今日をどうやって過ごしたかわからなかった。



気が付いたら、にっこり微笑んで
また明日ねって手を振る大我さんが目の前にいて

私の隣を歩く北斗さんと家に帰ってきてて。


寝室に入って一日を終えようとしてた。



ふと体が動いて、ドレッサーの引き出しから小さな箱を出す。



目が覚めたときに薬指につけていた指輪。

今の私がつけてていいものじゃないと思って
ずっと大事に仕舞っていた。


それ以来、箱の中を見るのは初めて。



今だって私にはこれをつける資格はない。




今まで髪の毛一本で保っていたような緊張が途切れて
涙が止まらなくなった。





いつかこれをつけられる日がくれば、

そう思ってた…





北「A、ごめんちょっといい…？」




ノックした北斗さんの声に慌てて指輪を仕舞う。

濡れた目元をごしごし拭って、
ドアの向こうの北斗さんに声をかけた。





『どうぞ。』

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