ふたり

36 You ページ36

北「俺ら付き合い始めた。」



大「…え？」

樹「お、お前ー！！」




ここはどこだろう…。


私の隣には写真で見た制服を着ている北斗さんがいて、
目の前には同じ格好をした大我さんと樹さん。




なんだろう

いつかの記憶なのかな…



やけにリアルに感じる。



樹さんは、こいつやりやがったー！なんて
大我さんに抱きついていて、

北斗さんは樹さんにうるさい、って笑ってる。



大我さんは…？





大「…ふーん、おめでと。似合ってるよ。」





そう言った大我さんの目はとても悲しくて、

口角は上がっているのに
とても笑っているようには見えなかった。



大我さんは、私が二股をかけたのは自分のせいだと責めてた。


この表情がそれを意味してるなら、

大我さんの言ったことが本当だったってこと…？





A！？A、どこ！？





誰かが呼んでる声に、
周りの景色がだんだん暗くなってきて





『ありがとう、大我。』





ねぇ、


このときの私は

どういうつもりでそう言ったの…？



樹さんが言ったように、本当に二股なんてしてなかった

そう信じていいの…？





何も見えなくなって、ゆっくり目を開けると
心配そうな顔をした北斗さんと目が合った。

どうしたんだろう、ちょっと汗をかいている。





『北斗さん…？』

北「ただいま。まだ顔色よくないね。
だめだって、ちゃんとベッドで寝てなきゃ。」





そっか、私寝ちゃってたんだ。




.





北「…さっきさ、」

『はい？』





北斗さんのごはんはいつもおいしい。

和食はもれなく優しい味がする。



具合悪いんだから、
消化にいいもの食べて。って

作ってくれたうどんをすすっていると
ちょっと言いづらそうに切り出された。





北「樹から電話があった。」

『っ、えと…』

北「詳しいことは何も言われてない。

けど、すげー心配してたよ。…何かあったの？」





言葉が見つからない。


私自身まだ本当のことがわかってないんだ。
自分のことも、大我さんのことも。


そんな状態で何か話せば
また北斗さんを傷付けるんじゃないか、

なんて言い訳しながら
きっと本当は嫌われるのが怖いだけ





北「…俺には言いにくい？」

『っ、ちが…！』





結局また私は北斗さんを傷付けてしまった。


北斗さんがくれる優しさは、
もらえて当たり前のものではない。


こんなにこんなに大切にしてくれてるのに、

私は北斗さんを悲しませてばかりだ…

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