ふたり

27 You ページ27

最近、断片的に北斗さんを思い出すことが増えてきた。



具体的な何か出来事を思い出せるわけじゃないんだけど、

北斗さんて確かこうだったよね、とか

今こう感じているんだろうな、とか。



なんで知ってるんだっけ？いつ言ってた？

っていうものから、


この前の夕飯みたいに自分では気付かないうちに思い出してて、
北斗さんに言われて気付くとかいろいろ。



そんなことまで思い出してくれたの？って、
毎日北斗さんの笑顔が明るくなっていくのが嬉しい。



そんな話をうんうん、と
優しい笑顔で聞いてくれる大我さんに話してた。



お仕事が終わって、

今日は少し残業しなきゃ、と言った北斗さんを
会社近くのカフェで待っている。



ちゃんと引き渡さないと北斗に怒られちゃうから、
なんて笑う大我さんと一緒に。





大「Aはさ、北斗の笑顔が明るくなったって言ったけど…
俺から見たら、明るくなったのはAもそうだよ。」

『え？』





久しぶりに会ったときなんか、
こーんなにげっそりしてたもんね！

って変顔する大我さんはやっぱり失礼なんだけど、


気を遣わない、いつも通りの大我さんの調子は
確実に私に元気と光をくれるんだ。


だから、私が明るくなったなら理由はきっと





『大我さんのおかげですよ。』

大「ふふ、やめてよ。
俺じゃなくて北斗を選んだAは間違ってなかったって、
そう思ってたとこなんだから。」

『え？』





初めて見る悲しそうな大我さんの笑顔に、
ひやりとした何かが背中を伝った。





大「本当は俺のだったのにね。」

『それ、どういう…』





待って。

私大我さんに何したの…？

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