ふたり

23 You ページ23

大我さんのもとで働き始めて数日。



このたった数日で、
私は人からのいろんな悪意を受けるようになった。



なんの努力もせず、
社長の友人というだけで雇われた私を快く思わないのは仕方のないことだと思う。



仕事はもちろん一生懸命やらせてもらってる。

だけど私の仕事って大我さんだけに関わるものだから、

他の社員さんには仕事で認めてもらう、
ということはできない。



挽回できるチャンスがないまま時間だけが過ぎていって、


最初は無視、陰口だけで収まっていた嫌がらせも
最近では小突かれたり脚をかけられたりと、
小さな暴力に発展してしまった。



女の人はまだ大丈夫。
我慢できない範囲じゃないし。


でも相手が男の人ならそうはいかない。

向こうが本気になれば力では勝てないんだから。



どうしよう。

でも大我さんに相談するのはずるいと思うし…



そんな甘いこと考えていたこの日、
恐れてたことが実際に起きてしまった。





大「やっべ、忘れものした！ちょっと待ってて！」





定時後、
会社を出てすぐのところで
いつも北斗さんとの待ち合わせ場所まで送ってくれる大我さんが忘れものに気付いて戻った。



その場で待っていると、
後ろから伸びてきた数人の太い腕に口を塞がれて、
羽交い締めにされてそのまま路地裏に連れ込まれてしまった。



地面に倒されて、馬乗りになった男の顔は見たことがある気がした。





「どうせ社長に体売ってんだから、俺らもいいよね。」





やだ…！やだ！！こわい！やめて！

声をあげたいのに、口を塞がれて息もできない。





「何やってんだよ！！！」





ブラウスに手をかけられた瞬間、
誰かの怒鳴り声がした。


パニックで最初は誰だかわからなかったけど、
男の人たちが逃げ出してすぐ目に入った金髪でわかった。





『大我さん…大我さん…！！』

大「ごめん。本当にごめん。怖い思いさせて…。

俺のせいだ…。ごめんA…！」





安心させるように抱き締めてくれる大我さんにしがみついた。

震えが止まらなくて、何も考えられなかった。






我に返ったのは、北斗さんからの着信で

地面に落ちてたスマホが震えたとき。

24 You→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す